22日、政府、民主党双方から鳩山由紀夫首相や小沢一郎幹事長らが首相官邸に集まり、初めての政府・民主党首脳会議を開いた。政府は26日召集の臨時国会に、北朝鮮に出入りする船舶などの貨物を検査するための貨物検査特別措置法案を提出する方針を伝えたのに対し、党側は36日間と短い国会会期を理由に、法案成立は難しいと回答した。首脳会議は今後、定例化されるが、法案処理を巡る双方の温度差は否めず、貨物検査特措法案に関しては、提出見送り論も出始めた。【近藤大介、太田誠一】
国会召集日を巡り、政府と民主党はさや当てを演じた経緯がある。このため政府側が、両者の足並みをそろえる目的で首脳会議を呼び掛けた。この日は政府側から、鳩山首相と菅直人副総理兼国家戦略担当相、平野博文官房長官が出席、民主党の方は小沢氏や輿石東参院議員会長、山岡賢次国対委員長が顔をそろえた。遅れて部屋に入った鳩山首相に、小沢氏は椅子から立ち上がって笑顔で迎えた。
ただ、具体的な協議となると、22日も双方の呼吸は合わないまま。貨物検査特措法案について平野氏が「(臨時国会での)提出を検討している」と表明したのに対し、山岡氏は「次から次へとやりたい法案が出てくるが、非常に難しい状況だ。臨時国会で仕上げるのは、一般論的に極めて難しい」と述べ、政府側にクギを刺した。
一方、永住外国人に地方参政権を付与する法案では、政府と民主党の姿勢が逆転した。推進論者の小沢氏の意向を踏まえ、山岡氏が「対応を考えていただきたい」と要請したものの、鳩山首相は22日夜、首相官邸で記者団に「法案の準備ができあがっている状況ではない。次の国会では難しいのではないか」と述べるにとどめた。
政府と民主党だけの首脳会議は、連立与党内にも波紋を広げている。社民党の重野安正幹事長は22日の記者会見で、会議開催を尋ねる質問に対し「全然、聞いていない」と驚いた。与党内で存在感を高めたい社民党は、政府側に定期会合を開くよう申し入れてきただけに、党内からは「会議の趣旨を平野氏に確かめたい」(幹部)との不満も漏れる。
毎日新聞 2009年10月23日 東京朝刊