大相撲の秋巡業が23日、兵庫県姫路市の県立武道館で再開した。横綱白鵬(24)=宮城野=が、先場所敗れた翔天狼(武蔵川)を猛烈かわいがり。7分間ぶっ通しのぶつかりげいこで“病院送り”にし、巡業休場へと追いやった。横綱朝青龍(高砂)は申し合いを11番行い、2場所連続優勝がかかる九州場所へ本格始動した。
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“因縁”の相手を、徹底的にしごき抜いた。左ひじを痛めているため申し合いを行わなかった白鵬だが、ぶつかりげいこで先場所敗れた翔天狼を指名。何度も何度も押させては転がし、ついには翔天狼が息も絶え絶えで横たわっても、頑として胸を出すことをやめなかった。
尻をたたき、けりを見舞い、立ち上がらせては投げ飛ばす。約7分に及ぶ異例の猛烈かわいがりに、土俵下で見守る親方から「危ない、危ない」との声が飛び、やっとけいこは終了した。意気揚々と土俵を降りる横綱とは対照的に、翔天狼は付け人の肩を借りて支度部屋に引き揚げた。
古傷の右ひざを痛めた翔天狼は、午後の取組を休んで会場近くの病院へ直行。診断結果は「右ひざ内筋肉血腫」で、「(今後の秋巡業は)休場します。(九州場所出場は)今は分からない」と足をひきずりながら帰京した。都内の病院で詳しい検査を受けるという。
休場を耳にした白鵬は「帰っちゃったらしいね」とバツの悪い表情を浮かべ、「悪いことしたね」とポツリ。翔天狼は01年春場所初土俵の同期生だ。結果的に“病院送り”という形にはなったが、決して先場所に金星を奪われた腹いせではなく、あくまで“愛のムチ”をふるった上での事故。「新聞紙面を通じて(翔天狼に)謝ります」と、素直に頭を下げた。
巡業部の不知火副部長(元関脇青葉城)も「強くしてやろう、引っ張ってやろうというケイコ。たまたま悪いひざに負担がかかっただけ」と擁護。普段が優等生の横綱だけに、問題視することはなかった。