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知事に聞く 高速道路無料化

2009年10月24日

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「橋の無料化は千載一遇のチャンス」と語る飯泉知事=県庁

◆「農漁業・観光客に利益」 運輸コスト減に期待

 民主党がマニフェストに掲げる高速道路の無料化。実現すれば、観光や物流、公共交通機関など、徳島県に様々な影響を及ぼす可能性がある。「無料化は神戸―鳴門ルートから実施を」と訴える飯泉知事に、無料化を支持する理由を尋ねた。

(三輪さち子)

 ――なぜ、神戸淡路鳴門自動車道の無料化を強く要望するのですか。

 県知事の立場で言えば、全国一斉ではなく、神戸淡路鳴門自動車道と県内の高速道路を優先してほしい。「上限1千円」の割引が始まった3月、県が調べたら、沖縄以外の全国のナンバーの車が徳島に来ていた。1位が兵庫、次に大阪、愛知は5位。神戸―鳴門ルートを使いたいという観光客のニーズがあるのに、料金が割高で使いにくいことを証明している。

 ――JRやバス、フェリー会社にとっては大打撃になりませんか。

 イコールフッティング(対等な条件)が本来あるべき姿。1千円の割引のために国が投入した分と同額をJR、高速バス、フェリーにも投入するのがイコールフッティングというもの。国がやらないから、7月から和歌山県、南海フェリーと一緒に3億円を支出し、片道1千円に割引する社会実験をした。

 ――物流面では何が期待できますか。競争の激化を心配する声もあります。

 昔から、徳島は近畿の台所だ。青果物はもちろんだし、ハモなどの海産物もそう。しかし四国の流通コストが高すぎ、店頭価格に跳ね返る。原油高もあり、農協や漁協関係者には「コストを何とかしてほしい」という声が多い。

 橋の料金が無料になってコストが下がる分を生産者側、消費者側とで分け合えれば、メリットはあっても、デメリットはないはずだ。

 ――無料化によって、徳島から関西方面へ人が流出する「ストロー現象」への懸念があります。

 大都市圏に人が集中するのは仕方ないが、各地域のよさを生かすべきだ。「上限1千円」の効果で、多くの人が四国を訪れた。次は、徳島に来た人にリピーターになってもらう戦略が必要。近畿の台所だということをアピールし、あれもこれも徳島のものなんだ、ということを知ってもらいたい。徳島は宝の山だが、まだアピールが足りない。新鮮とくしまブランド戦略や、都内のローソンのアンテナショップは戦略の一つだ。

 ――人口の流出は食い止められるでしょうか。

 今、大卒者の6割が県外に出ている。都会にあこがれるのは仕方がないが、徳島にいたくても職場がなくて出ざるをえない若者もいる。企業の誘致が進めば、雇用の確保が期待できる。

 明石海峡大橋ができて11年。工場を誘致しようと、臨海部に流通・業務団地を造成した。だが、期待は持たされたのに橋の通行料金が高すぎた。徳島県にとって、より残酷な結果になったといえる。関西方面から見れば目の前に魅力的なものがあるのに、バリアを作られてしまった。「四国も日本の一部なんだ」と言いたい。今回は千載一遇のチャンス。これを逃したら知事として失格だ。

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