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【主張】天皇のお言葉 外相発言は適切ではない
岡田克也外相が閣議後の閣僚懇談会で、国会開会式での天皇陛下のお言葉について「陛下の思いが少しは入ったお言葉をいただけるような工夫を考えてほしい」と述べ、宮内庁にお言葉の見直しの検討を求めた。閣僚として不適切な発言ではないか。
岡田外相は「大きな災害があった直後を除き、(毎回)同じあいさつをいただいている。国会に来ていただいているのだから、よく考えてもらいたい」とも述べた。これまでのお言葉に問題があったかのような意味も込められ、少し礼を欠いている。
国会開会式におけるお言葉は、定型的な場合が多い。先月18日に行われた特別国会の開会式で、陛下は「国会が国権の最高機関として、その使命を十分に果たし、国民の信託に応えることを切に希望します」と述べられた。毎回、形式や内容に大きな違いがなくても、そのときどきの国会に対する天皇のご期待が込められていると受け止めるべきである。
今回の26日に行われる臨時国会開会式でのお言葉も宮内庁の点検を経て、閣議決定された。このうえ、どう工夫してほしいというのか。岡田外相は「政治的な意味合いが入ってはいけないという難しいことはある」と言っているが、ときの情勢などに応じて違った工夫を加えられたお言葉が政治性を帯びないという保証はない。
天皇陛下は平成元年1月9日の「即位後朝見の儀」で憲法の順守を誓われた。憲法は天皇の地位について「日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」と定めている。国会召集などの国事行為は内閣の助言と承認により行われる。天皇の政治利用を防ぐ趣旨もある。
民主党の西岡武夫参院議院運営委員長は「天皇陛下の政治的中立性を考えれば、お言葉のスタイルを軽々に言うべきでない」と岡田氏を批判した。当然だ。
宮内庁は75歳になられた天皇のご負担軽減のため、今年から、8月15日の全国戦没者追悼式や国会開会式などを除き、全国植樹祭などの各種式典でのお言葉を原則としてなくし、ご臨席いただくのみにしている。
天皇はお言葉を発表される前、ご自身で関連事項を調べられることもあり、そうしたお言葉を作成する過程でのご負担も考慮しての軽減策である。
お言葉で、天皇のご心労を増やすような事態は避けたい。