多摩動物公園(東京都日野市)で人気を集めるコアラの餌ユーカリを栽培地の東京都八丈島から輸送していた日通航空の八丈島営業課が9月末で閉鎖された。代替業者は決まったものの、従前と同様の輸送態勢維持は難しいという。多摩動物公園の担当者は新鮮なユーカリの安定供給に頭を悩ませている。
多摩動物公園は八丈島や千葉県など国内6カ所でユーカリ約1万8000本を栽培している。八丈島は供給量としては3番目だが、温暖なことから露地栽培が可能で、他の栽培地の収穫が困難な冬場から初夏の安定した供給地として重要な位置を占めている。
これまで日通航空八丈島営業課はユーカリを刈り入れた翌日までには多摩動物公園に届け、鮮度が落ちないよう保冷車を使う態勢をとっていた。しかし、折からの不況などで同課の取扱数量が減少して閉鎖。代替業者は決まったものの、刈り入れから到着まで早くても3日かかる。
多摩動物公園には84年10月にオス2匹が初来園し、現在そのうち1匹のひ孫で08年10月に同園で生まれた「ミライ」を含め4匹が飼育されている。飼育の最大の課題はユーカリの安定供給。80年に豪州がコアラの輸出を解禁した際、相手国に対し、ユーカリについて「嗜好(しこう)にあった種類を十分供給できること」などと厳しい条件を付けている。
コアラは600種以上あるユーカリのうち数十種の葉しか食べない。市場流通していないうえ人工飼料など代用食もなく、国内で栽培するしかない。
多摩動物公園では国内で主食用に7種類、副食用に14種の計21種類を栽培。経費削減の中、綿密な生産管理をしながら供給態勢を維持してきた。収穫まで3年かかることから、急に他の栽培地を探すことも難しい。
担当者は「なんとか新鮮で良質なユーカリの調達を続けたい」と話している。【斉藤三奈子】
毎日新聞 2009年10月9日 東京夕刊