ＡＶ事務所のえげつない錬金術

　ＡＶ女優が所属する芸能事務所の社長が脱税で逮捕された。

　捕まったのは「ミューズコミュニケーション」（東京・世田谷区）社長の中川雅雄容疑者（４０）。０７年３月期までの３年間に約３億１５００万円の所得を隠し、法人税約９２００万円を免れたという。

　ミューズは麻美ゆまや小森美樹、きこうでんみさなど人気女優が所属。中川は女優への報酬が別会社に支払われたように装ったり、複数のダミー会社への架空外注費を計上するなどの手口を使っていた。

　ＡＶ界はメーカー乱立で競争が激化し慢性的な不況だが、３億円とは景気のいい話。なんでこんなに儲かるのか。ＡＶプロデューサーが言う。

「メーカーは儲けが薄いけど、所属事務所は売れっ子を抱えればウハウハです。現にミューズはきこうでんのギャラが１本３００万円、小森は４００万〜５００万円で、１番人気の麻美は６００万円以上。しかも麻美は月に２本ずつ新作に出演し、これまで１００本以上を出している。このうち事務所は最低でも半額はピンハネします。ある事務所は月に４０００万円を売り上げ、そのうち女優に渡すのは１５００万円程度。社長は“笑いが止まらない”と言ってました」

　ギャラの抑制は事務所の取り分を増やすためだけではない。

「あまり多額なカネを渡すと、女優は遊ぶことばかり考えて仕事をサボるんです。だから女優をうまく稼働させるにはギャラをケチったほうがいい。一石二鳥です。こうした事務所の多くはマネジャーが仕事を取ってきたら歩合を与えるシステムを採用していて、２０代で月収５０万〜８０万円はザラです」（ＡＶ監督）

　売れっ子ひとりを抱えればベンツに乗れるのがこの世界。リストラされたらマネジャーに転職しますか？

（日刊ゲンダイ2009年10月21日掲載）