年金記録問題の解決に向け、社会保険庁は23日、原簿の紙台帳記録8億5千万件とコンピューター上の記録を、10年度から4年間で全件照合すると公表した。最初の2年間で集中的に取り組むこととしており、2年目には約5万人を投入する方針だ。
社保庁は10年度予算で、照合作業用に789億円を概算要求している。内訳は、アルバイトや派遣社員も含めた人件費が145億円、作業が集中する11年度に向けたコンピューター端末の購入費やシステム増強費が643億円。
紙台帳を画像ファイル化し、基礎年金番号で検索できる仕組みが、今年度中に完成する予定で、この仕組みを使って来年の秋から本格的な照合作業に入る。同一の基礎年金番号を持つ画像ファイルとコンピューター記録が一致しているか、ひとつひとつ目視で確認するため、大量の人員が必要になる。10年度は約7千人で4250万件を照合、11年度は約5万人で5億5250万件を照合する予定。4年間で、延べ7万人の投入を見込む。
8億5千万件の紙台帳は、オンライン化される前の国民年金や厚生年金の記録。社会保険庁の調査で、厚生年金の紙台帳をコンピューターに入力する際のミスなどが約560万件あると推計されており、受給漏れにつながっている可能性がある。