鳩山由紀夫首相が東京・永田町に借りている個人事務所について、政治活動に使用しながら、賃料を政治資金収支報告書に記載していないことが朝日新聞の調べで分かった。政治活動の実態があれば、政治団体に無償提供したものとみなされ、相当額を報告しなければならず、政治資金規正法に抵触する疑いがある。
首相側は「鳩山が個人的に借りている。ある程度は政治活動に使っているが、すべてではない」と説明しているが、実際にこの事務所は、政治家としての首相の会合や経理処理などに日常的に使われている。
鳩山氏は03年2月、永田町のビルの6階部分2部屋(計176平方メートル)を借りてこの事務所を開いた。他の大物議員の個人事務所も多く入る有名ビル。部屋の表札には「鳩山由紀夫事務所」とあり、その下に首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」の表札もかかっている。
この事務所の賃料の相場について、複数の不動産業者は「2部屋で月120万円ほど」と話しており、年間で1千万円をはるかに超える計算だ。ところが友愛政経懇話会の収支報告書に記載された事務所費は、年100万〜300万円台で推移している。
この点について、鳩山氏の「故人献金問題」が発覚した6月まで友愛政経懇話会の会計責任者だった秘書は、朝日新聞の取材に「事務所の賃料は鳩山本人が個人で払っており、政治団体の事務所費には一切計上していない」と説明。「経理は辞めた秘書に任せていたため、細かいことは分からない」と話した。
総務省などによると、国会議員が自分で所有したり借りたりしている事務所を政治活動に使用する場合、自身の政治団体に対する無償提供として扱われ、相当額を「金銭以外の寄付」として収支報告書に記さなければならない。