2009-10-22 09:08:07
gataro-cloneの投稿
「核なき世界」か「核の傘」か(中)/「核抑止」機能しない世界/撤去を求める欧州【しんぶん赤旗】
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<参照>
オバマ大統領のプラハ演説(日本語字幕付き) 1/3
オバマ大統領のプラハ演説(日本語字幕付き) 2/3
オバマ大統領のプラハ演説(日本語字幕付き) 3/3
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以下は「核なき世界」か「核の傘」か(上)からの続き(テキストは「しんぶん赤旗記事情報/G-Search」から貼り付け)。
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「核なき世界」か「核の傘」か/中/「核抑止」機能しない世界/撤去を求める欧州
2009.10.16 日刊紙 2頁 総合 (全1,255字)
「核兵器なき世界」を目指すオバマ米大統領の4月のプラハ演説が、現実の政策としてどのように具体化されるか。それを大きく規定するものとみられるのが、現在作成作業が進む「核態勢見直し」(NPR)報告です。
ブッシュ前政権が2002年にまとめたNPR(非公開文書)は、核攻撃の標的としてロシア、中国以外に北朝鮮、イラク、イランなど7カ国を特定。核兵器と通常兵器の区別をあいまいにし、核先制攻撃を含む核使用戦略に大きく傾斜したものでした。新NPRでは、これがどこまで変わるか。「核なき世界」への展望は、どこまで織り込まれるのか。
より深い削減
オバマ大統領は9月23日の国連総会一般討論演説でNPRについて、「より深い削減に門戸を開き、核兵器の役割を低減させるNPRを完成させる」と述べました。
今回の米国取材で明らかになったのは、同盟国への「拡大抑止」の位置づけが、新NPRの主要な柱の一つになると想定されていることです。
「拡大抑止」とは、米国の抑止戦略を同盟国に「拡大」するというものです。そこには「核の傘」が含まれますが、それだけではありません。軍備管理協会のキンボール理事長は、「拡大抑止には多様な手段がある。核兵器の行使または行使の威嚇だけでなく、通常兵器、さらに外交も含まれる」と語ります。
“ソ連のような想定しやすい敵に対しては「核抑止」は機能するとされたが、今日の北朝鮮やイランなどへの核拡散や国際テロ集団による核兵器取得の危険には従来の核抑止は機能しない”。このような考え方も背景にして、「核なき世界」が必要だとの認識が米国で広まっています。
倒錯した考え
その一方で米国では、“同盟国の安全を確保し、それらの国が独自核武装に走らないための手段としての核兵器”という倒錯した考えがあります。そのような考え方に立って、「拡大抑止」の機能が高まるとの見方が出ています。
日本政府が核トマホーク地上攻撃ミサイル(TLAM/N)の退役延長を要望した問題が米関係者の間で大きな関心を集めているのも、この文脈でのことです。オバマ政権が対ロ関係改善などを考慮して、ポーランドなどへのミサイル防衛システム配備という前政権の決定を撤回したことに対し、東欧側から「懸念」が生じている問題も、この関連で注目されています。
とはいえ、米「同盟国」のすべてが、「核のない世界」をめざすオバマ政権の動きを懸念しているわけではありません。
ドイツ次期外相の有力候補と目されるウェスターウェレ自由民主党(FDP)党首は9月24日、ドイツ配備の米戦術核兵器の「4年以内の撤去」を要求。ベルギー議会も9月中旬、同国配備の米戦術核の撤去を求める書簡を米国に送りました。イタリアでも同様の動きがあります。米国の戦術核兵器が配備されている欧州の主要国のすべてで、「核なき世界」をめざすオバマ政権に呼応して、核撤去の動きが起こっています。 唯一の被爆国の日本が、北朝鮮や中国の「脅威」を理由に“米核戦力よ永遠に”と叫ぶ道理はありません。
(つづく)
しんぶん赤旗