2009-10-22 08:16:37
gataro-cloneの投稿
「核なき世界」か「核の傘」か(上)/障害つくった自公政権/国連安保理で「廃絶決議」 大きな変化
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「核なき世界」をめざす動きが胎動/ベルギー:「非核三原則」法案上程/米:核保有量を'12年に半減
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「核なき世界」か「核の傘」か/上/障害つくつた自公政権/国連安保理で「廃絶決議」 大きな変化
2009.10.15 日刊紙 3頁 総合 (全1,824字)
「核兵器なき世界」が大きな課題になりつつある米国で、日本などの「核の傘」論が注目されています。最近の米国取材に基づき、リポートします。 (坂口明)
「ティーラム・エヌ」…。9月下旬、有名シンクタンクが並ぶワシントンのマサチューセッツ通りに面するカーネギー平和財団の会合で、聞きなれない言葉が飛び交いました。
「米核戦略の再考」がテーマの会合では、来年初めまでに国防総省などが作成する新たな「核態勢見直し」(NPR)報告で、日本を含む同盟諸国への「拡大抑止」が主要課題の一つになることが議論になりました。
「トマホーク」
「ティーラム・エヌ」とは、「核トマホーク地上攻撃ミサイル」(TLAM/N)の略称です。米攻撃型原子力潜水艦が搭載してきた核兵器で、米国が日本に提供する「核の傘」の構成要素の一つです。米軍が同ミサイルを退役させようとしているのに対し、日本の自公前政権が反対したことが明るみに出て、関心を集めています。
この問題が、なぜ注目されているのか。会合では、TLAM/N問題に詳しいニューアメリカ財団のジェフリー・ルイス核戦略・不拡散イニシアチブ部長がパネリストとして発言しました。
同氏は、安全保障を米国に頼る日本が「自国の安全に完全なコントロールを持っていない結果、日本の政策立案者たちは、その保証を個々の軍事能力に求める」傾向があると指摘。それは1990年代には「東アジア(駐留米軍)10万人体制」、今はTLAM/N、明日は違うものになるだろうと語りました。
日本がTLAM/N退役に反対していると明かしたのは、「米戦略態勢に関する議会委員会」の5月の報告書です。同委委員のジョン・フォスター氏は米上院軍事委員会での証言で、米の「核の傘」として日本側が次のような能力を米側に求めたと述べました。
それは、「ステルス性(敵のレーダーなどに探知されにくいこと)があり、透明(誰にも見えること)で、迅速なこと」「堅固な標的に浸透できるか、副次的被害(人的被害)を最小化し、爆発力の小さな能力」です。
同氏はさらに、この要望を紹介した同委のフォスター委員に注目。「彼は、核兵器のデザインに携わってきた“核のタカ派”だ。こういう人々が、日本や欧州の同盟国のタカ派と連動して軍拡を進めるということが、過去数十年にわたって繰り返されてきた」と指摘しました。
TLAM/N問題を通じて、唯一の被爆国が核廃絶への障害をつくる異様な構造が浮かび上がります。
被爆国の役割
一方、9月24日にニューヨークの国連本部で開かれた安全保障理事会は、「初ずくめ」でした。核軍縮・核不拡散問題をテーマにした初の首脳級会合で、米大統領が初めて議長を務め、決議1887を採択しました。
決議は前文冒頭で、「核兵器のない世界のための条件を築くことを決意」すると表明。本文第5項で、「核軍備削減・撤廃に関する効果的措置について誠実に交渉する」と決めました。
決議はまた前文で、「1995年と2000年の最終文書を含む、過去の核不拡散条約(NPT)の成果を想起」すると明記しました。2000年の再検討会議の最終文書は、「自国核兵器の完全廃絶を達成するという全核保有国の明確な約束」を合意したものです。ところが05年の再検討会議でブッシュ米前政権が徹底妨害。同会議は、最終文書も採択できず閉幕しました。
同決議についてキンボール氏は、「包括的な決議であり、理事国がとるべき行動課題をまとめた。それは10年のNPT再検討会議が決める行動計画にも役立ちうるものだ」と評価。特に決議第5項については、「米国と常任理事国が、(核軍縮義務を規定した)NPT第6条だけでなく、2000年再検討会議の合意をも守る立場だということを明確にした点で重要だ」と語りました。
核問題をめぐっても世界がここまで変化するもと、唯一の被爆国・日本の果たすべき役割が、いよいよ問われています。
(つづく)
しんぶん赤旗