奈良放送局

2009年10月23日 21時11分更新

“部落解放”ない新組織名に


奈良県部落解放同盟支部連合会は、「部落差別は今もなくなっていないが、差し迫った課題ではなくなった」として、いったん組織を解体し、「部落解放」という文字のない新たな名前の組織で人権問題に取り組むことを決めました。

これは、23日、奈良県部落解放同盟支部連合会の山下力理事長が明らかにしたものです。

県内では、部落解放同盟奈良県連合会と、この団体から脱退したメンバーらで作る解放同盟支部連合会があり、部落差別をなくす運動を進めてきました。

このうち、支部連合会は、これまでの運動や同和対策事業では住宅などの生活環境は改善されたが、差別を根本的になくすことはできなかったのではないかとして、2年前から有識者などが参加した検討会で運動の歴史や差別の現状を話し合ってきました。

この結果、「結婚などで部落差別は今も残っているが、差し迫った課題ではなくなっている」としたうえで、「現在、取り組むべき緊急の課題は、児童虐待や障害者への差別などさまざまな人権問題だ」と結論づけたということです。

そして、「立場の違う人と共同で人権問題を解決していくため」として組織をいったん解体し、「部落解放」という文字の入っていない新しい名前の組織で、人権問題に取り組むことを決めました。

新しい組織は「人権情報センター・『絆』」という名前で設立される予定で、支部連合会の山下理事長は「今後こうした活動を県外にも広めていきたい」と話しています。

一方、部落解放同盟奈良県連の辻本正教書記長は「山下氏らは方向性を見失ってしまっている。われわれはほかの人権運動との連帯についても従来から経験を積み上げているところで、これまでの方針どおり闘い抜いていく」とコメントしています。