クレジットカード会社など約1100社で構成する「日本クレジット協会」は17日、クレジットカードの加盟店が金融業者と結託して、事実上の高金利融資を行うケースが相次いでいるため、悪用の舞台となる悪質加盟店の排除に乗り出す方針を明らかにした。加盟各社に対し12月から、悪質店に関する情報交換を義務化して実態把握を進め、被害の拡大防止を目指す。【清水憲司】
最近目立つのは、すぐに現金が必要なカード利用者から融資を申し込まれた金融業者が加盟店と結託して、カード利用者が同加盟店から品物を購入したように架空の売り上げを計上し、利用者も不正であることを知りつつ、カード会社から決済を受けるケース。
例えば、加盟店と金融業者が架空売り上げでカード会社から30万円を得て、20万円をカード利用者に、残りを自分たちで分け合うなどの手法だ。目先の20万円が欲しいあまり、カード会社に30万円の返済義務を負わされるカード利用者にとっては、事実上の高金利融資となる。返済が滞ればカード会社の損失になるため、排除が急務になっている。
ただし、本来は高金利融資の被害者であるカード利用者も不正に半ば加担したため自ら申告できないケースが多く、被害は表面化しにくい。カード会社は、高額商品の買い物が突然増えるなど、不審な取引を探し出して悪質店を特定し、契約を打ち切るなどしているが、悪質店が他のカード会社と契約を結び、悪用を繰り返すケースは防げない。
このため同協会は、加盟カード会社に対し、協会のデータベースへの悪質店の情報登録を義務化し、同時に各社が新たな契約を結ぶ場合、不正の記録がないかの確認を義務付ける方針。各社は不自然なカード利用がないかチェックを強化する。
クレジットカードを用いた高金利融資では従来、金融業者が利用者に高額商品を買わせ、安値で引き取り高値で転売し、サヤを取るケースが多発していた。商品を無許可で買い取った金融業者が古物営業法違反などで摘発されるケースもあり、摘発逃れのため、加盟店を抱き込む新たな手法が出てきたとみられる。
毎日新聞 2009年10月18日 2時30分(最終更新 10月18日 2時34分)