一人親の生活保護受給世帯に上乗せ支給されていた母子加算の満額復活が23日、閣議決定された。05年度から段階的に削減、今年度から全廃されたが、12月から再び支給される。「廃止は生存権を侵害する」として取り消しを求めて提訴していた、札幌市の菊地繭美(まゆみ)さん(46)は会見で「心の底からうれしい」と喜びを語った。
菊地さんは高校3年の長男(18)との2人暮らし。長男が高校に入学した07年4月から、月額2万3260円の支給が打ち切られ、食費や光熱費などを削って暮らしてきた。他の困っている母子家庭のためにも何とかしようと同年12月、道内の母親7人とともに自治体を相手取り札幌、釧路地裁に提訴した。
会見は訴訟を支える市民団体「北海道生活と健康を守る会連合会」(札幌市西区)の本部で行われた。菊地さんは「(長男に)今までいろいろ我慢させてきたので、洋服の一つでも買ってあげたいとか、ゲームの一つでも買ってあげたいとか、いま頭をよぎっています」と述べた。【中川紗矢子】
毎日新聞 2009年10月23日 21時01分