長妻昭厚生労働相は23日の閣議後会見で、社会保険庁解体後の後継組織、日本年金機構をめぐり、「重大な不祥事を起こした年金業務に、懲戒処分歴のある人がかかわるのはいかがなものか」と述べ、既定方針通り懲戒処分を受けた社保庁職員を採用しない意向を示した。機構の発足は来年1月で、再就職先が見つからなければ数百人程度が解雇にあたる分限免職となる。
約1万3千人の社保庁職員のうち、懲戒処分歴があるのは792人(4月1日現在)。08年7月に閣議決定された日本年金機構の基本計画では、年金業務への信頼回復のため懲戒処分者は採用しないことを定めている。長妻氏は記録問題対応のため、こうした職員を年金機構に採用することも検討したが、この日の会見で「閣議決定を見直すつもりはない」と明言した。
ただ、処分を理由に失職するのは「二重処分にあたる」として、労働組合側の反発も予想される。連合はこれまで、長妻氏に雇用確保に努めるよう繰り返し要請。長妻氏は「分限処分を回避する義務も私に課せられている」として、官民人材交流センターなどを通じて再就職のあっせんに力を入れる考えを示した。
年金機構は1万880人で発足する予定。約1千人は民間からの採用を予定しており、社保庁からの移行は9800人程度にとどまる見通しだ。(石村裕輔)