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【社会】強制連行 西松建設謝罪し和解、基金設立2009年10月23日 夕刊
戦時中に強制連行され、過酷な労働を強いられたとして中国人の元労働者らが西松建設(東京)に損害賠償を求めた訴訟に絡み、同社は二十三日、二億五千万円を信託し、被害者救済のための金銭補償の基金を設立することなどで元労働者側と和解した。 損害賠償を求めた訴訟は二〇〇七年に最高裁で元労働者側の敗訴が確定している。訴訟とは別の「即決和解」手続きで東京簡裁で和解が成立した。戦後補償をめぐる裁判で、勝訴した企業が自主的に補償に応じるのは異例。 金銭補償は、同じ広島県の水力発電所建設工事に携わった三百六十人の中国人労働者も対象とする。和解条項には西松建設が強制労働の事実を認め、謝罪する文言が盛り込まれた。西松建設は、新潟県での強制連行問題についても、年内に訴訟外で和解を成立させたいとしている。 元労働者らは、一審広島地裁で敗訴したが、二審広島高裁では逆転勝訴。〇七年の最高裁判決は「(日本に対する戦争賠償の請求の放棄を宣言した)日中共同声明で中国人個人の賠償請求権は放棄された」と判断。原告の敗訴が確定した。この判決は「関係者の被害救済に向けた努力が期待される」と付言していた。 戦後補償裁判をめぐっては、秋田県の花岡鉱山に強制連行された中国人が賠償を求めた訴訟で二〇〇〇年、鹿島(東京)と和解が成立、基金が設立された。 ◇ 司法記者クラブで会見した元原告の邵義誠さん(84)は、「歴史を直視せず、歴史責任を負う勇気のない多くの日本企業や日本政府と異なり、自主的に和解を申し出た西松建設の勇気を評価したい」と中国語で語った。 戦時中に強制連行された中国人は約四万人に上るといわれる。今回の和解の対象となる三百六十人のうち所在が判明しているのは百六十人にとどまる。邵さんは「ほかの企業と日本政府が、強制連行問題を、できるだけ早く全面解決することを心から希望する」と述べた。 <西松建設の話> 中国人当事者及び関係者のご努力に感謝します。
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