プレスリリース
2009年10月21日
Winny開発者に対する大阪高等裁判所の判決と技術者の社会的・道義的責任について
WIDEプロジェクト
Winnyを開発し、公開したことで著作権法違反幇助の罪に問われていた元東京大学助手に対して、2009年10月8日、大阪高等裁判所は、一審の有罪判決を破棄し、逆転無罪を言い渡しました。
WIDEプロジェクトは、この判決を、妥当なものとして支持します。
一方、判決で示された司法の判断とは別に、この事件は、技術者が果たすべき社会的・道義的な責任についての議論も呼び起こしました。
長年にわたり、現代社会を支える情報通信技術を研究・開発してきたWIDEプロジェクトは、この問題に対し、以下のように考えています。
技術者が社会的な責任を果たすためには、自らが開発した技術を改良する環境が必要です。そして、より根本的には、既存の技術や、それにより制約を受けている現行の社会制度を理解し、その上で新たな技術的解決策を提案できる環境が重要です。
技術者が、中立的な技術を開発した結果として逮捕され、その改善や新たな貢献が束縛されるような社会は、本当の意味で安心で安全な社会であるとは言えません。そのような逮捕は、安心・安全社会の基礎である、思考と探求に対する脅威となります。
WIDEプロジェクトは、技術者が社会への責任を果たす上で、技術が健やかに成長し、それを創りだす人が健全に人と社会のために貢献を続けられるような世界の確立を望んでいます。