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診療報酬改定めぐる議論がストップ

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 来年4月に実施を予定している診療報酬改定をめぐる議論が完全にストップしている。昨年度に実施された前回の報酬改定では、中央社会保険医療協議会(中医協)による集中的な審議が前年の10月から始まったが、政権交代後は中医協委員の任期切れに伴う後任人事の調整が難航し、政権交代以降に開かれたのは9月18、30日の2回のみ。早期の審議再開を求める声が、病院関係者だけでなく厚生労働省内にも広がっている。

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■診療側委員に都道府県医師会関係者ら起用か
 中医協委員の任期は1期2年で、最多で2回まで再任が認められる(最長で3期6年)。
 医師、歯科医師、薬剤師を代表する診療側委員は7人で構成され、渡辺三雄・日本歯科医師会常務理事を除く西澤寛俊・全日本病院協会長、邉見公雄・全国公私病院連盟副会長、日本医師会の竹嶋康弘副会長、藤原淳常任理事、中川俊男常任理事、山本信夫・日本薬剤師会副会長の6委員の任期が10月1日付で切れ、後任人事の調整が難航している。来年度に予定している診療報酬改定をめぐる議論は9月30日以来、完全にストップしたままだ。厚労省によると、次の中医協開催のめども立っていない。

 医療関係者には、報酬改定の実施が来年4月に間に合わないのではないかとの観測が広がり始めている。
 11の病院団体で構成する日本病院団体協議会の小山信彌議長は10月23日の記者会見で、急性期病院などへの診療報酬が引き上げられたとしても、仮に改定の実施時期が夏にずれ込むと、「病院は本当に壊滅的なダメージを被る」と危機感を示した。11月末か12月に提出する予定の診療報酬改定の要望書「第三報」で、4月の実施を求める文言を盛り込むかどうかを今後、検討するが、厚労省のある職員は「それでも役人のさがというか、(4月改定に)何とか間に合わせるんでしょうね」と話す。

 一方、診療側委員の後任人事は現在、大詰めの段階だ。複数の関係者によると、病院代表の西澤、邉見両氏は再任される公算が大きい。ただ、邉見氏は23日、東京都内で開いた「医療崩壊阻止! 医師・医学生署名をすすめる会」の署名提出集会のあいさつで、「今のところ、首とも再任とも言われていない」と、この日までに再任の内示がないことを明らかにした。

 西澤、邉見両氏以外に診療側の後任として名前が浮上しているのは、全国医学部長病院長会議の小川彰会長(岩手医科大学長)と同会議専門委員会委員長会の嘉山孝正委員長(山形大医学部長)、京都府医師会の安達秀樹副会長、日本薬剤師会の三浦洋嗣理事ら。このほか、先の衆院選で民主党支持を打ち出した茨城県医師会からの起用も検討しているとされる。

 現在、茨城県、京都府両医師会からの委員の起用をめぐり、日本医師会と調整しているとみられ、早ければ週明けにも最終決定する見通しだ。

 「中医協が頻繁に開催される時期が目前に迫っていることは理解している」。長妻昭厚生労働相は23日の閣議後の記者会見でこう述べるとともに、あくまでも民主党の政策に近い考えの人材を起用する考えを強調した。

■医療部会、医療保険部会の合併案も
 ここへきて、診療報酬改定の基本方針を決定する社会保障審議会(社保審)の医療部会、医療保険部会を合併する案も浮上している。社保審は厚労相の諮問機関で、医療部会では医療提供体制、医療保険部会では医療保険制度の見直しをそれぞれ検討するが、共に次年度に実施する診療報酬改定の基本方針も決めている。

 関係者によると、合併後のメンバーは20人前後になる見通しで、新たなメンバーには諫早医師会の高原晶会長の名前が挙がっている。同医師会の政治団体である長崎県医師連盟諫早支部は、先の衆院選で自民党候補の推薦を見送った経緯がある。

 自公政権下では、診療報酬全体の改定率を内閣が、改定の基本方針を社保審の医療部会と医療保険部会がそれぞれ決め、中医協ではこれらに沿って具体的な点数配分を審議する形を取ってきた。
 これに対して厚労省の政務三役は、長妻厚労相直属の実務者レベルの検討チームを近く設置して、ここで改定率と基本方針を決定し、中医協と社保審では細部だけを議論する形に切り替える方針を示している。中医協や社保審の人事が固まってから、審議の進め方が大きく変わる可能性がある。

 長妻厚労相は23日の会見で、中医協について「今、直ちに廃止することは考えていない」と述べる一方、「政府が診療報酬全体の改定率を、社保審が基本方針を、中医協が分配を決める従来のプロセスと力点の置き方が異なってくる可能性はある」との考えを示した。


更新:2009/10/23 23:09   キャリアブレイン

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