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中国人強制労働訴訟和解 一企業の思惑で国家の取り決め超えるのは…
日中の戦後補償をめぐっては、昭和47年の日中共同声明で「日本国に対する戦争賠償の請求を放棄する」と規定された。平成19年の最高裁判決はこの文言から中国人個人の損害賠償請求権が放棄されたと判示、訴えを退けている。
今回の和解は、解決に向けた努力を求める最高裁の付言に基づいたものだが、あくまでも付言であって、法的拘束力はない。にもかかわらず西松建設が自発的に和解を進めた背景には、政治資金規正法違反事件などの不祥事によるダーティーなイメージを払拭(ふっしよく)したいとの思惑がある。
そのような企業姿勢に、藤岡信勝・拓殖大学教授は「国と国との間では賠償責任がないとされ、最高裁も同様の判断をしている。国と国の合意を超えて、一企業が自分たちのイメージ戦略の一環として和解を利用するのはおかしい」と疑問を投げ掛ける。
今回の和解を機に、同様の動きが活発化することも予想される。確かに被害者への補償は重要かもしれない。その一方で、一企業、一個人の思惑で、国家間の取り決めがないがしろにされる事態も避けなければならず、冷静な対応が求められる。(大泉晋之助)
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