孟子に「舎生取義」(しゃせいしゅぎ)という言葉がある。「命を犠牲にしても正義を行う」という意味である。また、論語には「殺身成仁」(さっしんせいじん)という言葉がある。「身を殺して仁を成す」という意味である。これらの言葉を用いて100年前に日本人から賞賛された人物がいる。韓国の独立運動家・安重根(アン・ジュングン)である。 安重根は1909年10月26日に中国・ハルビンで伊藤博文を射殺した。伊藤は初代韓国統監であり、和服を着せられた韓国皇太子と一緒に写っている写真が示すように日本の韓国侵略の象徴的人物であった。その伊藤を射殺した安重根を幸徳秋水は以下の漢詩で称えた。 舎生取義 殺身成仁 安君一挙 天地皆震 幸徳は1901年に刊行した『廿世紀之怪物帝国主義』において日本の侵略的傾向を強く批判していた。対外膨張を国家の発展と無批判に肯定する世論の中で、帝国主義は国内の貧富差から目を背け、専制政治家の名誉心と野心を満足させるための手段であると冷静に分析した。 幸徳にとって日本の侵略と戦う韓国の人民は共感と連帯の対象であった。幸徳が逮捕された大逆事件と韓国が植民地化された韓国併合は共に1910年の出来事である。日本でも韓国でも侵略と差別に反対する人民は弾圧されていった。 他民族を支配・搾取する政府が自国民を守ることはない。支配・搾取の対象は自国民にも向けられる。平和憲法を有する現代の日本でも経済進出という形での帝国主義的側面は存在する。また、過去の戦争犯罪の追及も十分ではない。そのために海外の市民運動が「反日」という形で噴出することは当然である。反日の声に嫌韓や嫌中で条件反射するのではなく、共感と連帯で応えられるか。100年前の幸徳に学ぶべきことは多い。 |
10月12日〜10月17日
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