電気機器修理のため訪れた女性宅で、女性に抱きつくなどしたとして強制わいせつ未遂罪に問われた北海道中標津町の男性の控訴審判決が22日、札幌高裁(小川育央裁判長)であった。起訴内容の根拠となった女性の証言は「信用性に疑いがある」として、懲役1年6月(執行猶予3年)とした1審釧路地裁の有罪判決を破棄、無罪を言い渡した。
男性は自営業、谷内保男さん(45)。昨年7月11日午前11時ごろ、電気温水器の修理の依頼を受け訪れた同町の女性(当時21歳)宅で、女性に抱きつくなどの暴行を加えようとしたとして逮捕、起訴された。谷内さん側は一貫して無罪を訴え、目撃者や物的証拠のない中、女性供述の信用性が争点となっていた。
小川裁判長は女性の供述について(1)被害に遭ったとされる時間について、女性はテレビ番組やテレビ画面の時刻表示を根拠としているが、当時の番組内容や時刻表示の有無と矛盾し、谷内さんが取ったとする行動との整合性が取れない(2)谷内さんが女性宅にいた時間帯に、修理関係業者や電気会社と携帯電話でやり取りをした通話記録などの客観的証拠と、供述内容とに矛盾があり不自然--と指摘した。
その上で「信用性に重大な疑問があり、1審判決は明らかな事実誤認がある」と結論。谷内さんの通話記録を捜査当局側が調べていない点を指摘し「いささか不自然」と述べた。【吉井理記】
毎日新聞 2009年10月22日 22時10分