今起きている秋葉原の変化
Windows7の深夜販売で秋葉原が大いに盛り上がったのはご同慶の限りだ。Windowsが好きとかそう言う事を抜きにして、秋葉原のショップがお祭りを行えた事は良かったと思う。しかし、この一年~半年位思っていた事だが、最近の秋葉原の変化の具合は街そのものの存立を危うくしているのではないか。
丁度こう言う記事が出ていた。
アキバの風景に異変? カジュアルな大型店が相次ぎ登場(AKIBA PC Hotline!)
私が生まれて初めて秋葉原に行った時は東京オリンピックが終わって何年か経ってからの頃で、その当時は本当に電気街だった。今の様な電器専門店などこの世に存在せず、したがって電器店が軒を並べてひしめいている様は子供心に驚いた。驚いたと言うよりも当時登場し出した二層式洗濯機が店頭にずらずらといくらでも並んでいるのを見て面白がったと言う方が正しい。
東京を離れた事もあって、次に秋葉原に行ったのは遙に飛んでPC-9800無印を買って2HDのフロッピーを買いに行った時だ。
つまりその頃にはPC系のショップの萌芽が既にあったと言う訳で、これがいわゆるDOS/Vブームに至って最盛期に突入する。私のPC/AT機時代はこの時から始まり何代かはいずれも秋葉原のショップ組立PCを使って来た。
次に変化したのはとらのあなが秋葉原に進出した頃。同人やコミックスのショップが秋葉原に集中しだして秋葉原で買うのが便利になった時代。それに加えて海洋堂が等身大綾波をラジ館に飾った頃を契機としてフィギュアを扱うショップが拡大。一カ所にこれだけ集積されている場所は秋葉原をおいて無かった。
それらを追ってやって来たのが電車男以降のメイド喫茶をはじめとしたサービス業だ。そしてそれを追いかける様にして観光地化してヨドバシの様な大型店舗も出店した。ここまでは秋葉原の歴史としてよく語られる事だろう。
その一方で電器店は次々と姿を消し、PCパーツショップにも秋風が吹いている。一般ニュースにはなっていないが、フィギュア注意報でも書いた様に実はもう既にフィギュアショップも縮退を始めている。
ここまで書いた様に秋葉原は常に街の様子を変えて来ているが、今回の変化は今迄とは違うと思う。違う点は以下の2点だ。
・これまで主役に参加して来たのは電器製品→PC→アニメ/ゲーム/同人/フィギュアと言う実体の物販であったが、昨今増えてきている店はメイド喫茶をはじめとしたサービス業である。
・最近進出している大型物販店はドンキ/ヨドバシ/ヤマダ/AOKIの様な秋葉原以外のどこにでもある店である。物販と言ってもこれまでの様な普通では手に入りにくい物を扱っている店が集積して出来上がったのとは質が違う。
これら新しく主役に参加してきた店は存在それ自体が秋葉原を支えるものだろうか。あまりそうは思えない。特に後者の場合はこれら以外の店が壊滅した時に秋葉原に来る理由とはならないだろう。同じ物が別の街にあるのだから、わざわざ電車に乗ってまでやって来る理由にはなるまい。
そう考えると今起きている変化はこの先の秋葉原を担う新陳代謝とはとても思えない。AKIBA PC Hotlineを種にしたスラドのストーリーでは何人かが石原行政がクロスフィールドみたいな箱を持ってきたからこの有様だと言っているが、ではあれが無かったら上記の様な変化が起きなかったのかと考えてみればそうではない事がよく分かるだろう。九十九が倒れたのも、ラオックスのザ・コンピュータ館やアソビットシティ2店が消滅しラオックス自体が中国人向けの販売店となるのも、そう言う物の影響では無い。
次のWindowsの新しいバージョンが発売される時、果たして深夜販売で盛り上がれるだろうか。盛り上がるも盛り上がらないも新しいWindowsのプロモーションによるOS自体の魅力次第だろうが、たとえOSに期待感があろうとそれを担えるショップが大型2店舗程度になっていれば、今回の有楽町での深夜販売と同じ事になるのではないか。