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▲ヒートエクスチェンジャー(ワッティー)
CMOS Press Journal Inc. |
太陽電池の普及に向けた 高品質化・低コスト化技術産総研 太陽光発電研究センター 評価・システムチーム
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規格番号 | 名称 |
C 8910 | 一次基準太陽電池セル |
C 8911 | 二次基準結晶系太陽電池セル |
C 8912 | 結晶系太陽電池セル・モジュール測定用ソーラシミュレータ |
C 8913 | 結晶系太陽電池セル出力測定方法 |
C 8915 | 結晶系太陽電池分光感度特性測定方法 |
C 8916 | 結晶系太陽電池セル・モジュールの出力電圧・出力電流の測定方法 |
C 8918 | 結晶系太陽電池モジュール |
C 8919 | 結晶系太陽電池セル・モジュール屋外出力測定方法 |
C 8920 | 開放電圧による結晶系太陽電池の等価セル温度測定方法 |
C 8921 | 二次基準シリコン結晶系基準太陽電池モジュール |
C 8931 | 二次基準アモルファス太陽電池セル |
C 8932 | 二次基準アモルファス太陽電池サブモジュール |
C 8933 | アモルファス太陽電池測定用ソーラシミュレータ |
C 8934 | アモルファス太陽電池セル出力測定方法 |
C 8935 | アモルファス太陽電池モジュール出力測定方法 |
C 8936 | アモルファス太陽電池分光感度特性測定方法 |
C 8937 | アモルファス太陽電池出力電圧・出力電流の温度係数測定方法 |
C 8939 | アモルファス太陽電池モジュール |
C 8940 | アモルファス太陽電池セル・モジュール屋外出力測定方法 |
C 8990 | 地上設置の結晶シリコン太陽電池(PV)モジュール設計適格性確認 および形式認証のための要求事項 |
C 8991 | 地上設置の薄膜太陽電池(PV)モジュール設計適格性確認及および 形式認証のための要求事項 |
C 8941 | 二次基準多接合太陽電池要素セル |
C 8942 | 多接合太陽電池測定用ソーラシミュレータ |
C 8943 | 多接合太陽電池セル・モジュール屋内出力測定方法 (基準要素セル法) |
C 8944 | 多接合太陽電池分光感度特性測定方法 |
C 8945 | 多接合太陽電池出力電圧・出力電流の温度係数測定方法 |
C 8946 | 多接合太陽電池セル・モジュール屋外出力測定方法 |
TS(2010予定) | 二次基準CIS系太陽電池セル |
同上 | CIS系太陽電池測定用ソーラシミュレータ |
同上 | CIS系太陽電池セル・モジュール出力特性測定方法 |
同上 | CIS系太陽電池分光感度特性測定方法 |
同上 | CIS系太陽電池出力電圧・出力電流の温度係数測定方法 |
OITDA-PV01 | 色素増感太陽電池の性能評価方法 |
図4 QualifiedラボとWPVS参加機関
校正値の妥当性は,定期的な国際ラウンドロビンテストで相互に検証している。現在,一次校正が可能で,実績のある主要4か国(日本,ドイツ,米国,中国)の「Qualifiedラボ」の平均値が,根幹国際比較参照値「世界太陽電池スケール(WPVS)」として維持・活用されている。図4にこれら4機関を示し,表2に校正方法とその特徴を示す。
太陽電池の校正にかかわる単位系は,SI単位系である。IEC/TC82/WG2で審議中のトレーサビリティ規格IEC60904-4(案)では,分光放射照度標準(CIE BIPM/CCPR),世界日射計測基準(WRR/WMO)および分光応答度標準(CIE BIPM/CCPR)に基づくトレーサビリティを認めている。世界の校正機関による数回の国際持ち回り校正では,これら異なる標準と校正方法の違いにも拘らず,特に主要4か国の一次校正値が高い一致度を得た。その実績が国際根幹比較参照値としての「世界太陽電池スケール(WPVS)」の制定・維持に結実した。
表2 主要各国の校正方法と特徴
国名 (機関) | 認定機関 | 校正方法 | 特徴 |
日本 (AIST) | NITE | ソーラーシミ ュレータ法 | ・高再現性・高再生産性 ・多様な太陽電池に対応可 ・校正処理能力が高い |
米国 (NREL) | A2LA | 直達太陽 光法 | ・基準光近似の太陽光を利用 ・他地域では事実上困難 |
ドイツ (PTB) | 自己宣言 | DSR法 (絶対分光 感度法) | ・FZ-Si太陽電池など,出力の対光直線性の高い太陽電池では高精度 ・小面積 |
中国 (TIPS) | 不明 | 絶対分光 感度法 | (詳細不明) |
▲分光感度測定装置 ▲絶対分光放射照度測定装置
▲高平行度ソーラーシミュレータ
近年,世界各国で太陽光発電の開発と普及が促進されている。日本の太陽電池の生産量は,世界トップクラスであるが,国際競争は次第に激化しつつある。
太陽電池の性能表示値の信頼性は,世界市場を視野に入れた太陽光発電の飛躍的普及促進の観点から,非常に重要である。04年度には,太陽電池の国際認証制度(IECEE - CB制度の一環)がスタートし,05年4月より,認証ラベル付き太陽電池モジュールが国内市場に流通している。国際市場に参入する上で,製品認証関連規格の国際整合および性能表示に関するトレーサビリティの確保が不可欠である。性能表示に関して,ISO/IEC 17025に認定された機関で校正された基準太陽電池の使用や測定結果の活用が必須であり,補助制度の必要条件とする国も出てきた。従って,その国際的な意義は極めて大きい。
図5 一次基準太陽電池セル校正のトレーサビリティ体系図
一次基準太陽電池セルの校正値は,短絡電流値である。当所の校正方法は,JIS C 8910(05年改正):「一次基準太陽電池セル」を基本に,より精密化した方法で実施している。JISでは,二つの校正方法が規定されている。それは,トレーサビリティの原点を,分光放射照度標準電球にするか,WRR(世界日射計測基準)にするかである。我々の校正は,これら二つのトレーサビリティに基づく「Cross Calibration of Absolute」によって,常時,信頼性検証を行っている。右上に産総研の一次基準太陽電池セル校正装置を,図5に一次基準太陽電池セル校正のトレーサビリティ体系図を示す。また,表3にソーラーシミュレータ法による校正値の不確かさの主要因を示す。
表3 不確かさの主要因
1 WRR(世界日射計測基準)による絶対放射照度測定 |
1.1 WRRとSI放射スケールとの比較 1.2 絶対放射計の再現性 1.3 放射照度の面分布 1.4 照度の時間変動 1.5 受光面の水平度 1.6 光線平行度 1.7 多重反射 |
2 校正値:短絡電流(Isc)測定 |
2.1 校正値の平均値の実験標準偏差 2.2 セル温度の変動のIscへの寄与 2.3 温度計の不確かさのIscへの寄与 |
3 スペクトルミスマッチ補正係数 |
3.1 ソーラーシミュレータの分光放射測定 3.1.1 絶対分光放射計(分光放射照度)の不確かさ 3.2 分光応答度(分光感度)測定 3.2.1 分光応答度標準の不確かさ 3.2.3 バイアス光重畳効果 |
太陽光発電の世界的普及の時代を迎え,国際競争力をますます高めるためには,太陽電池の性能表示値のトレーサビリティ確保は不可欠である。そのためには,第三者認定された校正機関で校正された基準太陽電池デバイスを用い,自社における計測の不確かさを評価することが重要であり,技術的妥当性が検証され,国際規格・国内規格への適合性やトレーサビリティの確保が客観的に証明されている評価・検査装置の使用が生産管理の信頼度を高めることになる。
なお,我々は,校正技術の高度化や標準化,産業用評価装置の共同研究なども実施している。産業用評価機器として,高精度ライン用評価ソーラーシミュレータ,分光感度測定装置,高速型高精度分光放射計などが関連知財の実施契約を締結した企業によって販売されている。
我々は,国内トレーサビリティの最上位として,WPVS Qualified Labとしての校正パフォーマンスの維持に加え,一次基準太陽電池セルの校正機関としてQMSと不確かさのラボ認定(ASNITE認定)を取得した。基準太陽電池の校正・評価に関する根幹技術開発の中核として,世界の太陽光発電をリードする日本にふさわしく,先導的研究とその成果の普及にも取り組んでいく所存である。