2009年10月22日 2時30分 更新:10月22日 10時11分
政府は09年度補正予算の財源として活用する予定だった約3兆円の「埋蔵金」を使わず、来年度予算の財源に転用する方向で検討に入った。政府は補正予算のうち歳出約3兆円の減額を決めている。補正予算の財源の大半は国債や、特別会計の積立金などの「埋蔵金」。埋蔵金を使えば、その分だけ国債発行を抑制できる。従来の予算編成では国債発行を極力抑えようとしてきており、「埋蔵金」を温存して、来年度から始める鳩山政権の目玉政策の一つである子ども手当などの財源とするのは異例の対応といえる。
自民党政権時の今年5月に成立した09年度補正予算の一般歳出は14.7兆円。財源は国債発行(約10.8兆円)と、「埋蔵金」とされる財政投融資特別会計の積立金(約3.1兆円)、経済危機に対応するための予備費(8500億円)を充てた。しかし、政権交代後、鳩山政権は補正予算を全面的に見直し、16日に総額2兆9259億円を削減することを決めた。
約3兆円の歳出削減に伴い、政府は来年の通常国会に提出する予定の09年度2次補正予算案で歳入も見直す。その際、埋蔵金約3兆円は歳入に計上せず、ほとんどを国債発行で賄う見込みだ。
46兆円を見込んでいた09年度の税収は、経済危機の影響で40兆円を割り込む見通し。国債増発は不可避の情勢で、補正予算での埋蔵金の活用を見送ることは国債発行額を更に上ぶれさせる要因になり、今年度の国債発行は50兆円を超えるとみられる。
藤井裕久財務相は20日の会見で、「補正予算の3兆円の削減分は、国民により近いものに振り分ける」と述べ、子ども手当などの政策に充てる方針を示している。【平地修】