現在位置:
  1. asahi.com
  2. ニュース
  3. 社会
  4. 事件・事故
  5. 記事

弁護士ら所得隠し10億円 金利過払い返還請求の報酬

2009年10月19日9時57分

印刷印刷用画面を開く

このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

 福岡、佐賀、長崎3県の弁護士と司法書士約120人が、05〜07年に多重債務者らの過払い金返還請求で得た代理人報酬計約10億円を申告していなかったと、福岡国税局から指摘を受けていたことがわかった。重加算税を含む追徴課税額は計約3億5千万円に上る。高金利の貸金業者を相手取った返還請求で、債務者が取り戻した返還金の一部を報酬として受け取りながら、所得隠しや申告漏れがあったという。

 関係者によると、約120人のうち約7割は、法務大臣の認定を受けて請求額140万円以下の簡易裁判所の訴訟代理人ができる「認定司法書士」。残りが弁護士だった。

 通常、返還金は事務所の口座などを振込先とするが、福岡県内のある司法書士は、依頼者から預金通帳を預かり、貸金業者にその口座に返還金を振り込むよう指示。この口座から報酬分を引き出し、所得から除外していた。隠した所得は約1億円に上ったという。ほかにも、返還金を私的な口座に入金させる手口で約2千万円の所得を隠した佐賀県の司法書士や、同様に3千万円の所得を隠した長崎県の司法書士など、複数の口座を使って所得として申告しなかった例が目立ったという。

 今回の指摘について福岡県司法書士会の秋根喬(たかし)事務局長は「司法書士としての倫理観が欠如した行為で、イメージダウンにつながる」。過払い金返還請求で、司法書士が返還金の約2割を報酬として受け取るケースが多いという。

 佐賀県司法書士会の田中辰昭会長は「情報を収集した上で今後の対応を協議したい。多重債務者の救済を目的とする業務の社会的信用の低下を危惧(きぐ)する」。同県弁護士会の東島浩幸会長も「情報を収集し、事実の確認をしたい」と話す。

 長崎県司法書士会も「事実がわかれば何らかの対応を取りたい」としている。

PR情報
検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内