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【社会】

中絶訴訟 合意でも男性責任 慰謝料命じる

2009年10月23日 朝刊

 未婚の男女が双方合意の上で妊娠中絶した場合、男性側に慰謝料を支払う義務があるかどうかが争われた訴訟の控訴審判決が東京高裁であり、渡辺等裁判長は「女性の苦痛は等しく分担すべきだ」として、男性に慰謝料など百十四万円の賠償を命じた一審東京地裁判決を支持し、男性側の控訴を棄却した。判決は十五日付。

 判決によると、二人は二〇〇七年、結婚相談所の紹介で約一カ月間交際し、別れた後で妊娠が判明。男性は手術の同意書に署名、手術費三十万円を負担し、納骨にも同行するなどした。

 判決は「女性の苦痛や負担は共同行為で生じたものであるから、等しく不利益を分担すべきだ」と指摘。男性側は「最大限真摯(しんし)に対応した」と主張したが、「女性に産むか中絶するかの選択を委ねるのみで、父性の義務を果たさなかった」と述べた。女性側の代理人弁護士は「男性の責任を正面から認めた判決は意義深い」と話している。

 

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