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日本郵政:「官から民へ」逆行懸念も 社長に元大物次官

 20日に辞任を表明した日本郵政の西川善文社長の後任として、亀井静香金融・郵政担当相が白羽の矢を立てたのは、かつて「十年に一人の大物次官」と呼ばれた斎藤次郎・元大蔵省(財務省)事務次官だった。郵政民営化の狙いだった「官から民へ」という流れに逆行する懸念が強い人事と言える。

 郵政民営化は、小泉政権が掲げた「官から民へ」路線の象徴だった。小泉純一郎元首相は「大物バンカー」と呼ばれた三井住友銀行元頭取の西川氏を日本郵政の社長に据え、民間出身の手腕を生かして郵貯改革など民営化を推進した。しかし、小泉改革路線を批判する鳩山政権が、西川氏を降ろして元大物官僚を起用したことで、「官から民へ」路線からの巻き戻しが鮮明になった。

 斎藤氏は、民主党の小沢一郎幹事長と関係が深い人物で、政界では「小沢人事」との見方が強い。斎藤氏は94年2月、新生党代表幹事だった小沢氏に近づき、税率7%の国民福祉税構想を練り上げた。その際、両氏は密会を重ねたとされ、「重要政策を密室で決めた」など強い批判の声が上がった。こうした小沢氏との蜜月ぶりが影響し、自民党が政権に復帰した95年5月、任期を1カ月残したまま事実上、更迭された。

 小沢氏との関係は現在も深いとされるが、「霞が関のドン」とも呼ばれた斎藤氏の起用に、「鳩山政権はあれだけ官僚依存からの脱却を訴え、天下り批判をしているのに、まさかという思いだ」と、財務省内でも驚きの声が上がっている。「かんぽの宿」問題などで、西川社長は国会で厳しい追及を受けていただけに、財界からは後任人事について「民間にはだれも引き受ける人はいないのでは」との声が根強かった。

 斎藤氏は今後、郵政グループの株式売却の凍結や4分社体制の見直しなど、郵政民営化の抜本見直しに向けて経営のかじを切ることになる。銀行、保険事業で計300兆円の資産を抱えるグループのトップに元大蔵官僚が就くことで、民間企業には官業肥大化への警戒感が広がりそうだ。【平地修、鈴木直】

毎日新聞 2009年10月21日 11時42分(最終更新 10月21日 12時38分)

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