鳩山内閣がまとめた来年度予算の概算要求に、民主党が政権交代前に無駄と判断して廃止や削減を求めていた事業が多数含まれていることがわかった。別の項目に潜り込ませる形で要求した事例もあった。予算の無駄の洗い出しに取り組む行政刷新会議は、実態把握に乗り出す方針だ。
無駄根絶を掲げる民主党が、自らの判断に反する予算編成を進めていたことになり、閣僚ら政務三役の本気度が問われる。省庁によっては「削減されるのりしろを用意した」(政務三役)との意図もあったとみられる。
民主党は今年4〜6月、構想日本(加藤秀樹代表)の指導を受け、今年度予算に計上された2767事業のうち、87事業を抜き出して、行政刷新会議が行う「事業仕分け」の予行演習を実施。17事業を廃止、8事業を民間、17事業を地方に移管すべきだと判断した。事業総額の26%にあたる1847億円が削減可能で、予算全体では10%前後の節約が可能と結論づけ、マニフェストの論拠にした。
ところが、今月16日にまとまった来年度予算の概算要求では、民主党が廃止・見直しを求めた事業のうち、少なくとも内閣府と総務、文部科学、厚生労働、農林水産の各省が所管の20を超す事業の予算を要求していた。
例えば文科省は「廃止すべき事業」とされた「『心のノート』活用推進事業」(今年度3億円)を道徳教育関連予算に含めるかたちで要求。
厚労省は、「廃止」を求めた「独立行政法人雇用・能力開発機構運営費交付金等」(同1059億1千万円)を減額し約632億8100万円を計上していた。
農水省は、82億円の削減を求めた食料安定供給特別会計関連事業(同219億円)を「事業内容を見直した結果」として逆に100億円以上増額して要求した。