出番終了後、悲しみをこらえ会見する長門裕之
「太陽の季節」など多くの映画やテレビ番組で活躍した女優の南田洋子(みなみだ・ようこ、本名・加藤洋子)さんが21日午前10時56分、くも膜下出血のため、入院先の都内の病院で亡くなった。76歳。夫で俳優の長門裕之(75)は同日夜、東京・明治座で会見。舞台出演のために最期を看取(みと)ることはできなかった。
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夫の長門裕之は48年間連れ添った妻が天国へ旅立った悲しみを胸に、東京・明治座で「川中美幸特別公演 幸せの行方」の舞台に立った。
南田さんが息を引き取ったのは午前10時56分。4分後、同11時から午前の部が開演したため、最期を看取ることはできなかった。昼夜2回公演の合間に悲報を知らされた。
夜の公演後に会見した長門は、沈痛な面持ちで登場。「これからは女房のない世界に踏み出していきます。思い出の中で洋子は生きてますから。これは永遠のものです」とあふれる涙を必死にこらえた。
長門は20日夜にも同じ場所で会見し、南田さんが重度のくも膜下出血で危篤状態であることを報告したばかり。会見後に病院で見舞ったのが最後の別れとなった。「17日にぶっ倒れたとき、おれの顔をチラッと見て、手を握って離してくれなかった。アレが最後の意思表示だったのかな…」。
南田さんが05年に認知症を発症してからは、2人で力を合わせて病気と向き合った。俳優業と並行の介護生活には苦難も多かったはず。でも「4年間、僕が介護することで、僕の人生をよみがえらせてくれて、人生観を変えてくれました」と、最愛の妻に感謝の言葉を贈った。