平日にもかかわらず、学級閉鎖で子どもの姿が消えた教室=20日午前、大分市の荷揚町小学校
新型インフルエンザの影響が教育現場に広がっている。うがいや手洗い、“せきエチケット”の徹底に努めているが、県教委が学級閉鎖などの新基準を示した今年8月20日以降、学級・学年閉鎖や臨時休校は累計で300件を超えた。今後、県内全域で大流行する恐れがある中、学校からは修学旅行など今後の行事への影響や、授業時間の不足を懸念する声も出始めている。
全校児童419人のうち45人が罹患(りかん)した由布市由布院小学校は23日まで臨時休校中。高学年を中心に、授業日数が不足する恐れも出ている。加藤淳一校長は「保護者も心配している。不足した場合は冬休みの初めと終わりを1日削って確保することになるだろう」と説明する。
大分市荷揚町小学校は、1年1クラスを23日まで学級閉鎖中。23日には6年生が大分国際車いすマラソン大会の歓迎行事を校内で開く予定だが、「最終判断は前日の様子を見て決める」という。11月13日には全国の教員が集まる研究発表大会も控えており、江口洋子校長は「公開授業もあり、何とか無事に実施したいのだが」と気をもんでいる。
大分市内の27中学校は、11月上旬~12月上旬にかけて2年生が関西方面などへの修学旅行を予定。3年が学年閉鎖、1、2年で学級閉鎖が出た滝尾中学校は11月8日から3泊4日の日程。岩尾賢太郎校長は「最悪の場合はキャンセルもあり得る。ただ、旅行会社に支払うキャンセル料も頭の痛い問題。キャンセル料がアップする予定日の8日前までに決めることになる」。
高校生は企業の採用試験や大学などの推薦入試が秋以降、本格化する。2学期制の中津北高校は19日に後期の始業式があったばかりだが、1、2年の計3クラスが22日まで学級閉鎖。3年生が罹患すれば、各種試験を受けられなくなる恐れもあるだけに、同校は「進路に影響がないことを祈るばかり」と話している。
<ポイント>
学級閉鎖などの基準 県教委は、国の方針や新型インフルエンザが弱毒性であることを踏まえ、従来よりも緩和した基準を8月20日、「基本的な考え方」として示した。具体的には、1割以上の児童・生徒が罹患した場合は学級閉鎖。複数の学級閉鎖が起きたら学年閉鎖、複数の学年閉鎖が出た学校は臨時休校となる。いずれも期間は4日間。県内の公立幼稚園―高校の学級閉鎖などは計345件。このうち臨時休校は17件(21日現在)。
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