(cache) 国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約
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*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。

国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約

マウラ・ハーティー米国国務次官補(領事業務担当)

2005年12月3日 於在日カナダ大使館

(草稿)

 米国大使館は、国際的な子の奪取に関するセミナーに参加することができ、うれしく思います。また、セミナー開催にあたり、在京領事・総務関係者団体およびカナダ大使館のご尽力に感謝いたします。この重要な議題を討議するために、日本政府、非政府組織、領事、一般市民の方々の代表が一堂に会することは大変貴重なことです。

 国際的な親による子の奪取は悲劇であり、このセミナーに21カ国を超える参加があることからも分かるように、世界中の国で増加している問題です。米国はこの問題に対して長年取り組んできました。1994年、国務省は子どもを不当に奪取された米国人の親を支援するために子どもの問題に対応する部署を設けました。国際結婚や離婚の増加により、子の奪取は増加し続けています。奪取または米国外に不当に監護された子どもの米国への返還を望む、年平均約1100の家族に対応しています。

 子どもの親権問題を公平かつ平等に解決する最も良い方法は、国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約です。同条約加盟各国は、ある加盟国に居住している子どもが、親権者の権利を侵害する形で別の加盟国に連れていかれた場合、もしくはその国で監護されている場合、子どもを速やかに元の居住国に戻すことで合意しています。韓国と日本を除くOECD加盟国を含む75カ国がハーグ条約に加盟しています。

 現在国務省が対処している子の奪取事例で、東アジア諸国の中で日本が最多の件数となっています。子どもがハーグ条約非加盟国に奪取された場合、米国政府は、子どもが元の居住国に戻れることを確保し、残された親や相手国政府担当者と緊密に協力します。残念ながら、日本では子どもの奪取問題を解決するための仕組みがありません。実際、親による子どもの誘拐は犯罪とは見なされないのです。

 子どもを奪われた親にとっては、わが子に関するいかなる情報も貴重なものです。したがって、領事が奪取された子どもと面会することは非常に重要です。しかし、残念ながら日本では子どもを奪取、または不当に監護している親を説得し、領事が子どもと面会をする許可を得るのは困難であるといえます。

 米国は引き続き、子どもの親権をめぐる争いについての問題解決法を決定するひとつの仕組みとして、国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約への日本の加盟を強く促します。またわれわれは、領事関連ウィーン条約と日米2国間領事条約は、領事が米国籍の子どもの権利を守るよう規定していることにも言及します。日本がこれらの条約に加盟することにより、米国の領事が不当に奪取された米国籍の子どもとの面接許可を確実に得られるよう日本が支援することを望んでいます。