稲葉「泣きそうになった」恍惚の勝利！

試合開始直前に円陣を組む日本ハム野手陣 Photo By 共同

　【ＣＳ・日本ハム９―８楽天】日本ハムはつなぎにつないだ。８回は森本からの４連打で２点差に詰め寄り、９回は１死から３連打と四球でスレッジのミラクル弾を呼び込んだ。終盤の２回で８点。試合後のベンチでナインは万歳を繰り返した。いずれも得点に絡んだ稲葉は「これ以上ない試合。半分以上の人があきらめかけたと思う。泣きそうになってしまった」と恍惚（こうこつ）の表情を浮かべた。

　中継ぎ陣を打ち崩した打線だが、布石は打っていた。楽天先発の永井には今季、札幌ドームで２敗。攻略のために「ファウルで粘ってスタミナ切れを狙う」ことを徹底した。先制点を奪った初回は２９球を投げさせた。「永井は５、６回に球威が落ちる傾向にあった」と五十嵐チーフスコアラー。効果的なボディーブローが効き、８回途中１２１球で降板に追い込んだ。「（永井は）少し疲れてきたみたいで高めに球が浮いていた」と稲葉もしてやったり。永井の球威が落ち始めた時、奇跡のサヨナラ劇へのレールは敷かれていた。

　中１０日での試合。しかし、ナインは緊張することなく、普段通りの野球をした。試合前、森本の提案でマウンド後方に円陣を組んだ。バッテリーを除く野手７人がまるで高校球児のように。「結婚します！１２月に入籍することになりました。奥さんになる人はこの人です」。森本がポケットに仕込んでいたのは、チームメートの多田野の写真。これにはナインも大爆笑で「リラックスさせようと思って。勝って良かった」とムードメーカーは満足げだった。

　「全員でやろうとした結果。だからＣＳは本拠地でやりたかった。緊張感のある試合だった」。３安打を放った主将・稲葉の興奮はいつまでも冷めない。代名詞の「つなぐ打線」で楽天の勢いを止めた。リーグ優勝の底力を見せつけ、一気にＣＳを突破する。 【日本ハムグッズ】

[ 2009年10月22日 ]