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野茂英雄のメッセージ

行動

―向こうでの暮らした中で、ほかの国の選手と対等にやっていかなければならない中で、必要だ、と思うものはありますか。言葉とか、精神面だとか

 「英語は普通の人だったら覚えていくと思います。僕はダメでしたけれど(笑い)。マイナーとか行ったりしたら自然に。それ以外は日本と一緒ですよ。自分はこういうスタイルでやろうと決めて、やり通したり。会話はできないですけれど、相手も話しかけてくれますからね。マイノリティーも多いですからね。日本人も米国ではマイノリティー。ドミニカンもベネズエラもいますからね」。

 そう言った後に野茂は続けた。

 「一歩前へ出るというか、行動する。そこだけできなかったら、何も始まらないでしょう。いくら僕だったり、ほかの挑戦した人の話を聞いたとしても、ノウハウを得たとしても行動しなかったら、分からない。行動するということが一番大事なので。何かを、自分がやりたいと思ったことを自分が行動することが大事というか。それに対する戦略も大事ですけれど、それよりも行動しないと。戦略があったら、ネガティブに思える部分もいっぱい出てきますからね。だからそういうのも吹っ切るにはポジティブに考えていくには、一歩前に出て行動する。歩いていくっていうことが大切だと思う」。特に米国では、そういう部分はあるかもしれない。自ら挑戦してきた人間には、手をさしのべてくれる部分もある。そこからチャンスをつかむケースも多い。

 メジャーリーグは少し前までは、そう簡単にいくことができない場所だった。今は多くの選手が意外に簡単に挑戦しにいくこともできる。一方で、だめならばすぐに帰ってくる選手もいる。かなり多くの選手がマイナーを含めたメジャーリーグを経験してはいる。

 これからは行き方も、さらにこれまでとは変わってくるのではないか。

 この問いには、少し顔が険しくなった。

 「一応、この15年でも歴史はできてきている。過去にいろんな形できた選手が成功したり失敗したりがあってこそ、できてきている。その辺を分かってプレーしにきている選手と、そうでない選手もいる。僕が言うのもなんですけれど、メジャーに挑戦しにきて、メジャー契約できなかったら辞めるとか、それまでの選手たちを無視するような行動をしている人は、尊敬心を持っては見ていられない。それは先輩後輩関係なくです。いくら後輩であっても、まじめに自分のスタイルがあって、ここで成功したい、と思ってやっている選手には尊敬心持って見ていますけどね。ちゃんと、マイナーから上がってメジャーでやった人たちは本当に偉いですよ。価値がありますよ。年上でも年下であっても、冷やかし程度の人はあんまりたぶん、アメリカに行って何も学んでいないはずです。まあ、『あのとき、自分はなぜ行ったのか』という意味が、後から分かればいいです」。厳しい見方もしていた。

 厳しい見方の背景には、日本から挑戦する人たちが、米国の中で本当に認められトップの選手たちと対等に戦って認められていってほしいという先駆者ならではの思いがあるからだ。

 野茂は、あえて「僕レベルで止まってはだめなんです」という。

 強烈な言葉だ。

野茂英雄

 「野球だって進化しているはずなんです。僕の次に来るようなピッチャーは僕の記録を抜いていくべきなんです。また次に来る選手はその記録を抜いていく。もし、それで困っていたらヘルプしてあげたいですし、過去の人物をどんどん、超えていかないと野球自体発展しない。いつまでも僕を抜けないじゃ、だめじゃないですか。僕だって次から来る選手に超えてほしいからヘルプしたいし、それが大事だと思う。子どもたちも、例えばあこがれる選手は僕でもいいかもしれませんけど、『僕レベルの考え方』で止まるのは良くないと思う。メジャーに来て、確かにいろいろな経験をしている自分がいる。プライドがあるなら、若い人にそれを超えさせなければいけないんです。若い人が僕のプライドを認めて超えていく。そうすると僕のプライドも持ってそれ以上になっていく。そうしないと、いつまでも自分以下の投手しかいなくなる。それではいつまでたってもだめじゃないですか」。

 野茂が「僕レベルの考え方ではだめ」というのには驚いた。野茂は野球で世界に挑戦する人が、先人のプライドも持ってさらに上のレベルへ行くことを素直に願っている。

 日本人が、例えばNBAのマイケル・ジョーダンや、ゴルフのタイガー・ウッズや、全盛時のケン・グリフィーのようなスーパースターとも対等に戦って行くことができるだろうか。野茂は「できると思います」と言い切る。

経験

 本場のスポーツの世界で認められるためには、数字や勝ち負け、記録だけではない。記録を抜くということも必要だが、日本から来て、いい記録を作ったということで認められるという次の段階で、日本人だとかアメリカ人だとかに関係なく『すごいやつだ』として認められていくことが大切になる。

 野茂は「僕の場合は日本からきて、頑張ったということで認められたんです。次は戦いの中で、その人たちと対等に認められるようになるということが必要だと思う。日本人だとか関係なし認められていってほしい。当然数字的にも超えなければいけないですし、内容としても。これから挑戦する人たちは、その辺を意識してやっていけるかどうかだと思います。僕みたいな(メジャーへの)行き方だけでは無理でしょうね」と言った。

 野茂は日本からやってきて、まだ日本人の力など未知数の時に見事な成績残し、米国社会に認められた。それは素晴らしく、とてつもないことだ。だが、野茂はどこから来たとか、関係なく、ものすごいやつらが世界から集まって来る中で認められていく、という次の段階が必要だという。そうしないと、最終的には彼らの中で評価されるスーパースターたちと本当の意味で肩を並べることはできないと考えている。だから「僕レベルの考え方で止まってはだめです」と強烈なことを言うのだ。

 やはり米国での経験、生活を通してではないとわからない事柄でもある。

 「もちろん英語の能力も必要でしょう。向こうでの生活経験は絶対必要です。プレーだけじゃなくてね。私生活の経験、例えば学生の時には学生でしかできない経験も必要です。グラウンドでの失敗、生活の中でも失敗から学ぶことも大事。その中から、まったく同じ環境の中から、トップに立った時に、本当に対等に認められるようになるのでしょう」。

 いずれ必ず向こうのスーパースターたちと肩を並べる若い選手たちが現れる。そういう時に、野茂の経験、言葉は有形無形の形で大きな支えになるだろう。そしてたぶん、何らかの形で野茂はそういう挑戦者を手助けしていくのだろう。

日本と世界の差…「体力」大きい

野茂英雄

 インタビューを終えてから、もう1度、日本と世界の差の話をした。

 日本は野球にかぎらず、ほかのスポーツでもジュニアのころには、世界でもトップレベルだが、大人になると世界のトップレベルと差ができるケースが多い。才能はあるのに、伸び悩むというような「不満」は、なかなか晴れないのはどうしてなのだろう。

 野茂に意見を求めると「うーん、やはり体力の差ではないですかね」と言った。

 「(一般的には)パワーの差を感じるでしょ。それはしょうがないんじゃないですか。ゴルフだってアメリカツアーずっと(いい成績を保ちながら)回れるかっていうと、回れないでしょ。それは体力の問題も大きいんじゃないですか。テニスだって同じ」。

 米国で生きていくためにはメンタルも含めた「体力」で想像以上のタフさが必要だ。

 「野球だって、マイナーリーグで何年か続けられるかっていったら、大変ですよ。自分の時間がまずない。若い時はいいですけれどね。ホームゲーム3日目のナイトゲームが終わって、飛行場にいって、乗り継いで、遠征地についたら試合して、また3日目の試合終わったら、今度はバスで移動して朝ついてまた試合して。荷物明けても、2回寝たらまた荷物まとめて、それをまた延々と続けていく。結果が出なかったら気分も良くない。お金もないので、ぜいたくもできるわけじゃないしね。礼儀を知らない若い選手もいますしね。そこで礼儀を学んでいくわけだから。マイナーから上がってメジャーでやった人たちは本当に偉いですよ。メジャー契約できて定着するより難しいですよ。マック(鈴木)も大家も田口も、価値があります」。

―そうなると日本人で、米国の中で普通にやれる人は限られる

 「だからいつまでたっても挑戦なんですよ」。

 華やかな舞台も経験した。見えないところで苦しむ経験もした。日米を通して彼にしかできない経験を通して養われた物の見方考え方は、野茂の大きな財産のひとつになっている。

NOMO×NIKKAN

 野茂英雄(のも・ひでお)1968年(昭43)8月31日、大阪市生まれ。成城工-新日鉄堺。88年ソウル五輪に出場し銀メダル。89年、8球団の競合の末、ドラフト1位で仰木監督の近鉄に入団。体を大きくひねる独特の「トルネード投法」と、鋭いフォークボールによる奪三振などでいきなり18勝を挙げ、スター選手に。90-93年まで史上唯一の4年連続最多勝をマーク。

 95年にドジャースに入団し、13勝6敗でナ・リーグ新人王。球宴にも出場し先発を務めた。ド軍2年目の96年(対ロッキーズ)、レッドソックス時代の01年(対オリオールズ)にノーヒットノーランを達成(両リーグでの達成は史上4人目)。

 06、07年はメジャーでのプレーはなかったが、08年にロイヤルズで復帰。しかし白星を挙げることなく4月末に自由契約。同年7月、現役引退を発表した。

 日米通算201勝155敗1セーブ、3122奪三振。現役時代のサイズは188センチ、104キロ、右投げ右打ち。03年にNPO法人「NOMOベースボールクラブ」を設立。家族は夫人と2男。

野茂氏のオフィシャルサイトがオープン。

NOMOベースボールクラブ



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