ナビゲーター:近藤サト 放映:1993年〜
Keyは原則ハ長調(C)orイ短調(Am)で表記しています。
第20回 全曲アナリーゼ「守ってあげたい」
総集編
第19回 複合拍子〜シャンソン
「パリの空の下」
リズムとは? 強・弱というアクセントがある、ひとまとまりのもの
心臓の音、歩く音:2拍子が安定した基本的リズム
4拍子とは?2拍子の組み合わせ 強(強・弱)・弱(中強・弱)
日本人がしっくりくるリズム・3本締め
人は2拍子で歩き、馬は3拍子で歩く→ヨーロッパ文化
混合拍子:2拍子・3拍子の組み合わせ
TAKE FIVE:5拍子(3拍子+2拍子)
複合拍子:3連符2つ 2拍子の中に3拍子を組み合わせる
I ME MINE、琵琶湖周航の歌:(8分の)6拍子
シャンソンの軽やかさはワルツや念仏の3拍子とは違う印象
3拍子を4小節ごとにひとかたまりとしている
4小節が4拍子のしっくりしたリズムを生み出す
第18回 根音と転回形〜ベースライン
竹内まりや「夢の続き」
音楽における足元=ベースラインを飾る
転回形 C・ド(根音)ミソ(基本形)、ミソド(第1転回)ソドミ(第2転回)
転回形によりベースラインを作成
様々なベースライン
みずいろの雨、真夏の夜の夢:アルペジオ的用法
気ままにREFLECTION(杏里)、SUPER SONIC MOVEMENT(Cassiopeia)
:リズム楽器的用法
Diamonds、僕はこの瞳で嘘をつく:合いの手的用法
DAY TRIPPER:メロディーベース
第17回 転調
ギルバート・オサリバン「ALONE AGAIN」
とめどなく適度な転調を繰り返す=彷徨・さまよい
転調
1つの曲の中で別の調に移ること 最後は元の調に戻るのが普通
大きな波を作り出す技法
転調のパターン
1 W度を別の調のU度にみなす転調
ベートーベン「月光」嬰ハ短調のW度をホ長調のU度に
2 同主調への転調
ヘ短調−ヘ長調(ウルトラマンタロウ、異邦人)
ホ長調−ホ短調(ベートーベン・ピアノソナタ3番、禁じられた遊び)
3 半音上に転調
ロ長調−ハ長調(米米CLUB「浪漫飛行」)
4 3度の転調
3度下:ニ長調−ロ長調(KAN「愛は勝つ」)
3度上:ハ長調−ホ長調M.Rovel「ボレロ」
5 副5度をつかう(第4回参照)
CHAGE&ASKA「SAY YES」 THE BEATLES「MICHELLE」
調性の崩壊
クラシックの歴史は、転調を繰り返すうちに、ついには無調音楽へ
第16回 偶成和音とは何か〜キース・リチャーズの魅惑の左手
The Rolling Stones「BROWN SUGAR」
偶成和音
偶然に成立する和音 変化途中の和音 刹那の和音 滅びの美学
コードの中の1つの音が隣の音に移動する(刺しゅう音)ことによって生じた和音
Gの中でソシレ−(ソシ)ミ−(ソシ)レと鳴る、ソシミはEm
ロックのフレーズによく出る、装飾的な和音
無理なコードを押し込むと、荒削り・チャーミングな印象を与える
サスペンション・コード
Am(ラドミ)-E7sus4(ラシレミ)-E7(ソ#シレミ)
Amの根音(ラ)が掛留音として留まっている
※掛留音=チャーミングは前回触れたところ
和音の性格を決定する第3音(ソ#)が一時停止の状態
「太陽がくれた季節」のイントロ:E7sus4で多感な青春を表現
刺しゅう音が第3音だと
C(ドミソ)-Csus4(ドファソ)-C(ドミソ)
C7(ドファソド)→C(ドミソ)F(ファラド)両方の第3音がない状態
CとFはトニック(I)とサブドミナント(W)
とても不安定な状況
あまりサスペンドが効き過ぎませんように。
第15回 掛留音とシンコペーション〜官能的な音楽とは何か
M.Rovel「亡き王女のためのパヴァーヌ」
掛留音
ある小節の最後の音がタイによって次小節の頭の音となる
次小節の頭の音は、本来コードが持つ音と異なる不協和音となる
「Let It Be」の「Be」が鳴るところなど
本来区切りのあるところで区切られない、情感が増す
清純な美人とふしだらな美人:掛留音はふしだらな音
シンコペーション
次の小節の最初の音がタイによって前小節の最後の音となる
前に出てくる感覚を与える Fusionでよく使われた
荒井由実「あの日にかえりたい」
勘所で使うから、おもしろみが出る
効果的に羽目を外すから、官能的となる
第14回 音画と標題音楽
荒井由実「コバルト・アワー」
音楽で絵を描くように表現する手法:音画的手法
P.I.Chaikovsky「胡桃割人形・花のワルツ」花が舞い落ちる様
ゴダイゴ「MONKEY MAGIC」イントロで宇宙で孫悟空が生まれる様
THEME FROM "JAWS" サメが近づく様
コンバット・マーチ 兵士の行進の様
F.Chopin「雨だれ」左手の演奏が雨だれの様
L.v.Beethoven「運命」ドアをノックする様と言われている
実音を入れた音楽
THE TYPEWRITER(タイプライターの音)
悲しき雨音(雨音)
YELLOW SUBMARINE(潜水艦浮上)
告白(電話のベル)
伊勢佐木町ブルース(吐息)
ローハイドのテーマ(ムチの音)
ミュージック・コンクレート
あらゆる音を素材として組み立てられた音楽
REVOLUTION9(The Beatles)、原始心母(Pink Floyd)
標題音楽
曲が表現しようとするものを示す題が付され、その題と結びついた
文学的、絵画的、概念的などとの内容との関連で聴かれることが意図
された器楽曲
絶対音楽
種々の制約に拘束されない純粋器楽曲
「交響曲第一番」など
コバルト・アワーは
標題音楽で、音画的手法、ミュージック・コンクレートを多用し、
隠し味が利いた曲
第13回 輪唱・カノン・対位法
ザ・ピーナッツ「恋のフーガ」
追いかけて、すがりつき、最後に一つになる
フーガとは?音楽を楽しむための基本を教えてくれるもの
2つ以上のメロディーの絡み合い:対位旋律の活用
日本の伝統音楽は、1つの音に様々な技法をつけることで発展
そのため、2つ以上の音を同時に聞くことが苦手
カノンとは?一番簡単な例が輪唱
平行カノン:1つのメロディーを平行移動して各種楽器で演奏
無限カノン:小節遅れで無限に繰り返し演奏
反行カノン:上下(高低)逆さまにして演奏
反行の拡大カノン:上下逆さまで範囲拡大
逆行カノン:最初からと最後からを同時に演奏
第12回 黄金のカデンツ〜「結婚しようよ」は最後に言って
吉田拓郎「結婚しようよ」
主要3和音
T(トニック)W(サブドミナント)X(ドミナント)
Cm−Fm−G−Cm
わかれうた、カナダからの手紙、3年目の浮気、
ダンシング・オールナイト、みちのくひとり旅
カデンツ=韻律・抑揚 和音つながりの基本パターン
T−W−X−T 白い色は恋人の色
T−W−T−X−T テネシー・ワルツ
代理和音:元の和音の3つの音のうち2つが共通のもの
T−U−X−T V.Monti チャールダーシュ
Y度の和音が遊び心を
T−Y−W−X−T DIANA、I WILL ALWAYS LOVE YOU
「T−X−T」+「T−U−X−T」つなぎを代理和音Y度で
T−X−Y−U−X−T
倍音
ピアノで「ド」を鳴らすと、C7(ドミソシ♭)が小さく鳴る
このC7の構成音が倍音 シ♭の不安定さが次の音へ導く
「結婚しようよ」
T−X−Y−Tという不安定な進行が、不安定な気持ち(夢見がちな歌詞)を演出
クライマックスでは、W−X−Tの安定進行で決意を示す
第11回 日本音楽とは何か?
「男はつらいよ」
四七抜きと五音音階
5度上の音階を順に並べると「ド−ソ−レ−ラ−ミ」
イタリア グレゴリオ聖歌
イギリス 蛍の光、AMAZING GRACE
朝鮮 アリラン
「LET IT BE」のギターソロ
原由子「花咲く旅路」など
明治時代、音楽の東西融合を目指し、四七抜きを広めた
その後、バリエーションで、崩し方が出てくる
ちあきなおみ「喝采」経過音で
坂本龍一「戦場のメリークリスマス」1カ所崩しで曲調が深まる
四七抜きは、なぜなよ抜き(骨抜き)なのか
T−W−Xと導音
主音「ド」を導く「シ」がない Wの根音「ファ」がない
クラシックでは、印象派が使用 「浮世絵」の世界
第10回 「第9」の構造分析
「歓びの歌」=創意工夫→変奏
jazz 変奏の妙 「聖者の行進」
「君が代」と「軍艦行進曲」
同じメロディーを繰り返すにも少しずつ変える「変奏曲」
第9回 ボサノバとオブリガード
Sergio
Mendes & Brasil'66「WAVE」
オブリガード=助奏(民謡では「合いの手」)
「恋の季節」メロディー&オブリガード
メロディーが歌い上げるとき、オブリガードはリズムを刻む
性格の対称性、ボケとツッコミ
第8回 準固有和音
Bing Crosby「White
Christmas」
準固有和音=同主短調をちょっと覗く技法
同主短調:ハ長調に対するハ短調 W度の和音(この場合F−Fm)がよく使われる
一瞬「短調=悲しい・切ない」に転調
C Am F Fm5
あの日光ってた 笑顔の宝石 (素敵なルネッサンス)
Dm7Fm6
C
あなた約束したじゃない (会いたい)
準固有和音に「長7度」(「ド・シ」:汚い音)を一瞬加えると、汚い音を洗い流してくれる。
「White
Christmas」に、この音が一瞬出てくる。
第7回 跳躍的進行
「風と共に去りぬ」より「タラのテーマ」
メロディーで、音階が上がると高揚感が出、下がると落ち着きが出る。
(「野ばら」のサビ) (「異邦人」の最後のフレーズ)
音が跳ぶ「跳躍的進行」で、更なる高揚感が出る。
7度(ド−シ)「シルエットロマンス」の歌い出し3小節目
8度(ド−ド)「太陽がくれた季節」の歌い出し3小節目
抑揚 旋律の頂点を作りだし、メリハリをつける。
「タラのテーマ」は、8度の跳躍的進行に抑揚をつけ、高揚感を表現している。
第6回 ドッペルドミナント
モンキーズ「デイ・ドリーム・ビリーバー」
例:ナンパのテクニック「友達の友達はみな友達」
ハ長調で、T度(トニック)のCに対して、X度(ドミナント)はG
ト長調で、T度(トニック)のGに対して、X度(ドミナント)はD
Cに対して、Dは、ドミナントのドミナントで「ドッペルドミナント」という。
安心感を与え、軽い転調のような効果がある。
第5回 倚音(いおん)
都はるみ「アンコ椿は恋の花」
コードを構成する音以外の音を「非和声音」といい、大きく3種類に分けられる。
経過音 間の音 Cが鳴る間に「ドレミファソ」と鳴るような場合のレとファ。
補助音 挟まった音 Cが鳴る間に「ドレドレド」と鳴るような場合のレとレ。
倚音 小説頭のコードにない音 Cが鳴るときに「レミ〜」と鳴るような場合のレ。
・
「アンコ〜」のところに表れる。
第4回 副5度〜簡易転調
松田聖子「赤いスイートピー」
例:恋愛映画の意外性
ハッピーエンドの前に、意外な展開を織り込み見る側をはらはらさせる。
長調から短調に転調させると、悲しい、切ない気持ちを奏でる効果がある。
・ ・
「泣きそうな、気分になるの」で転調。「・」の間がイ短調。
C F Em Am → C F E7 Am ここでイ短調に転調
イ短調(Am)のX度に当たる音(E7)を直前に持ってくることで流れを作る
第3回 半音階的進行
George Hurrison「WHILE MY GUITER
GENTLY WEEDS」
例:和歌や広告の言葉遊び
「信じて 愛して 私たちの 世界」頭文字をとって「しあわせ」
ド シ ラ# ラ ソ# ソ ファ# ファ というように、ベースの音を
半音ずつ下げる(または上げる)。それに合わせコードに「転回形」を使い、
まとまりをつける。
第2回 保続音
荒井由実「卒業写真」
ベースで同じ音が鳴り、コードが変化する。
例:カクテル ジン+ライム・トニック・サワーなど
第1回 半終止・導音・ブルース進行
ビートルズ「Let It Be」
例:デートのテクニック 完全に満足させない また逢いたくなる
V−T 完全終止
W−T 半終止 曲が続くような印象 もっと聞きたくなる
コードの肝は、真ん中の音 G(ソシレ)ならシ
シを聞くと、ドに行きたくなる ドを一番下に持つコードはC
だからG−C(X−T)は安定する
V−Wには通常行かない禁じ手
しかしあえて使うことで、アウトローな雰囲気が出る
その最たる例が「ブルース」。
「Let It Be」は、G−F−Cのコード進行、つまりX−W−Tが頻繁に登場する。
アウトローな魅力と、また聞きたくなる魅力が出ている。