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  スポーツNOW(12月17日付)
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アーチェリー山本41歳、5度目の五輪射抜いた弓の達人

男子最多5度目の五輪を目指す山本は、鋭い視線で的を狙う(撮影・野上伸悟)
男子最多5度目の五輪を目指す山本は、鋭い視線で的を狙う(撮影・野上伸悟)

 男41歳。普通なら心にも体にも疲れが見える年齢で世界と戦う選手がいる。アテネ五輪アーチェリー代表の山本博。日本男子では最多5度目の五輪出場になる。昨年、団体を含めて8種目の日本記録を塗り替えた。84年ロサンゼルス五輪銅メダリストは、その後20年間トップに君臨し続けている。勤務する大宮開成高を訪ね、不惑をすぎた男の強さに迫った。師走に入っても慌てず騒がず、マイペースで悲願の金メダルへ調整を続けている。

 ロス五輪で銅メダルを取った21歳の大学生は今、41歳のおじさんになった。それでも山本はトップの座を譲らない。7月の世界選手権でアテネ五輪出場枠を獲得し、9月には代表に内定した。本番から約1年前に5度目の五輪切符を手にしたが、気負いも重圧も感じさせない。教べんを執る高校の校舎に隣接する練習場で、その強さの秘密に触れた。

 ◆広い視野 同行したカメラマンがウロチョロしても、決して動じずに矢を射続けた。矢は次々に的の中心に突き刺さった。「(写真は)自由に撮って構いません。矢が通る1・5メートルの範囲外ならいいですよ」。集中力がそがれないのかという心配は無用だった。「カメラマンの存在が情報として入っているからね。この競技は木の葉が動いたら狙いを変える判断をしなければいけない。的に集中しているが、非常に視野の広い中で見ている」。

 ◆風を読む 風の読みは技術、集中力と並ぶ要素の1つ。肌をなでる感触や木々の揺れ、雲の動き、観客席に流れるたばこの煙など、あらゆる情報を集約する。横からの微風なら30センチほど狙いをずらす。「心技体が高いレベルにあれば、風が見えてくる。来年そういう状態になっていなかったら見えないで終わる。見えると信じていますけどね」。

 ◆雑音平気 昨年のアジア大会で韓国選手と対戦した時、観客席で何度も携帯電話が鳴った。意図的と思えるほどタイミングは射る直前に集中した。しかし「抗議をすれば技術不足をさらけ出すようなもの」という。練習場では常に携帯電話を傍らに置き、不意の着信音にも動じない訓練をしている。

 ◆空を見る 射る前、必ず空を見上げる。無意識にひと呼吸して気持ちを落ち着ける。「空はどこも同じ。自分のホームグラウンドを思い出せる」。プレ五輪で経験したアテネの試合会場はスタンドが近くて高い。本番に備えて首の角度を変えて射る練習も取り入れている。

 ◆自然体が 授業や部活動の指導で5年前から練習量が半減したにもかかわらず、成績は反比例してグングン上がった。13種目保持する日本記録のうち、8種目を02年に塗り替えた。以前は毎日7時間、300本の猛練習を繰り返していたが、今は多くて3時間、150本。「体がつらいと練習を落としちゃう」。自然体がピークを過ぎた肉体を維持する。晩酌もする。忘年会にも出る。年末年始の過ごし方はサラリーマンと大差はない。

 経験からくる落ち着き。入念な準備。自分自身に無理強いをしない心の余裕。70メートル先の人間の頭に乗せたリンゴを百発百中で射抜く力がなければ世界では戦えない競技で、不惑をすぎたロビン・フッドが金を射抜くかもしれない。【岡山俊明】


新たな弓と出会い復活

自慢のバイクにまたがる山本
自慢のバイクにまたがる山本

 00年シドニー五輪の国内予選では連続出場のプレッシャーに押しつぶされて代表を逃した。挫折を味わったが、2年前の春、1張の弓との出会いが立ち直るきっかけを与えた。20年以上使用してきたメーカーからヤマハ製に切り替えた。「人間関係のしがらみで使ってきたが、1度抜け殻になった後で再起するために弓を替えようと思った。シドニー五輪の直後から使いたいと思っていた弓だった」。効果は予想をはるかに超えた。「矢を放つ瞬間に不安が来なかった」。

 長年使ってきた弓は、過去の嫌な感覚がよみがえった。風や景色、気温、湿度。以前失敗した時の条件が重なると、弓を通して過去が頭をよぎる。「引いた弓を戻してしまうことがあった。時間制限があるから、そうなるといいショットはできない」。新しい弓には昔の感触は宿っていない。

 昨年9月にヤマハが弓具製造から撤退したため、人生を変えた弓はもう手に入らない。手元にある最後の3張はアテネまでの命。「でも北京への楽しみがあるんですよ。アテネ五輪が終わると、また新しい弓と出会える」。見知らぬ中年男性から人生相談を持ちかけられることもある。日本に元気を与える41歳は、夏のアテネで旬を迎える。


 ◆山本博(やまもと・ひろし) 1962年(昭和37年)10月31日、横浜市生まれ。12歳からアーチェリーを始め、横浜高でインターハイ3連覇。甲子園優勝投手で元ロッテの愛甲猛氏とは同期生。日体大で大学選手権4連覇、ロス五輪銅メダル。96年アトランタ五輪まで4大会連続出場。日体大教員を経て89年から大宮開成高保健体育教諭。70メートルの元世界記録保持者で、02年に8種目(うち団体1)の日本記録を更新。趣味はゴルフ、パソコン、バイクで、愛車はカワサキのNinja(900CC)。170センチ、70キロ。家族は妻と1男。


 ◆アーチェリー 五輪では直径122センチの的まで距離70メートル。64選手がランキングラウンドで順位を決定し、1位と64位、2位と63位が対戦。トーナメント方式で優勝者を決める。3回戦までは18射、準々決勝から12射。矢の速度は時速約200キロで、飛距離100メートル以上。的は内側から黄(内10点、外9点)赤(8、7)青(6、5)黒(4、3)白(2、1)に色分けされており、的中した部分の点数を加算していく。

精神制御できる

 ただ1人40歳代で金メダルを獲得したロス五輪ラピッドファイアーピストル蒲池猛夫さん(67)の話 年齢はまったく意識しなかった。世界最高の練習計画を立てられるかを第一に考えた。「外せない」というマイナス思考が浮かばなくなるまでトレーニングを続けた。練習で60発600点満点を出して当たり前。76年のモントリオール五輪までは無念無想の境地まで達しなかったが、4年後のモスクワ(日本は不参加)のころからしっかりした心理状態で臨めるようになった。アーチェリーも静止して的を狙う競技。年を重ねると、若い時以上に精神面を制御できる利点はある。

 ロス五輪の日本人メダリストの今 山本以外で現役を続けているのは、自転車スプリント銅の坂本勉だけ。現在も最上級のS級1班で活躍し、今季優勝3回。金メダルの柔道山下泰裕、斉藤仁、細川伸二、松岡義之、体操具志堅幸司、レスリング富山英明、宮原厚次の各氏は各団体の強化を担う要職にある。

 ◆日本の金メダリスト(団体競技も含む)の平均年齢 平均は23・9歳。10代14人、20代133人、30代5人、40代1人。21〜25歳に集中しており、全体の6割近くを占める。30代の競技別はバレーボール4人、馬術1人。最年少はバルセロナ五輪競泳200メートル平泳ぎの岩崎恭子で、14歳と6日。最高齢が蒲池猛夫の48歳。

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