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英国大使らが作成した赴任国の評価レポート、失礼極まりない本音の数々

  • 2009年10月21日 16:29 発信地:ロンドン/英国
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エチオピア南部のサウス・オモ(South Omo)で、儀式の準備をするムルシ(Mursi)の人々(2009年5月7日撮影)。(c)AFP/Aaron MAASHO

【10月21日 AFP】タイ人には文化がなく、無類のセックス好き。アフリカ人は自己を破壊する傾向がある。ニカラグア人は嘘つきで暴力的でアルコール依存症――以上が、英国の一部の高級外交官たちが持った感想だ。

 英国では、高級外交官が海外での任期を終えて帰国する際、その国に関する「詳細かつ率直な」評価報告書をロンドン(London)の外務連邦省に提出する慣習が06年まで続いていた。

 非外交的とも言える文言が並ぶ同報告書は、同省幹部以外は目を通さない「極秘扱い」だが、英国放送協会(BBC)がこのほど、法律で定められた国立公文書の30年の保管期間が過ぎたもの以外にも、情報公開法により一部を入手。20日に始まった同局の新番組『Parting Shots(別れの挨拶)』で紹介した。

■率直過ぎる感想の数々

 1965~67年にタイの首都バンコク(Bangkok)に赴任したアントニー・ランボルド(Anthony Rumbold)卿の感想は単刀直入だ。「ここには文学も絵もない。あるのは、ひどく異様な音楽のみ。彫刻と陶芸と舞踊は、他からの借り物。建築物は単調で、内部の装飾は不気味」

「金持ちの楽しみは賭け事とゴルフであることを誰も否定できないだろう。放蕩が彼らの最大の楽しみなのだ。タイ人の平均的な知能レベルは低い。われわれよりははるかに低く、中国人と比べてもかなり低いといわざるを得ない」

 同じ年、ニカラグアの首都マナグア(Managua)に赴任していたロジャー・ピンセント(Roger Pinsent)氏も、思いのたけを書き記している。「ニカラグア人の平均像とは、ラテンアメリカ人の中でも最悪の部類に入る、不正直で信頼できず、暴力的でアルコール依存症。残念だが疑問の余地はない」

 ナイジェリアに赴任した高等弁務官のデビッド・ハント(David Hunt)卿は1969年、次のような報告書を送付した。「ナイジェリア人には、いつでも、自分たちに最も危害が及びそうな道を選ぶという、狂った習慣がある」

「彼らだけではない。アフリカ人は総じて、自分の鼻を切断して顔をおかしくすることをいとわず、こうした手術を美容整形の偉業と考えている」

 そのほか、ブラジルは「国の運営が恐ろしくひどい」と表現され、ある駐カナダ大使は当時のピエール・トルドー(Pierre Trudeau)首相を「変人」「金持ちのヒッピー」「徴兵忌避者」呼ばわりしている。

■タイがやり玉に

 第1回目の放送で、最も目立ったのはタイに関するコメントだ。

 ある大使は、当時のタイの外相を「虚栄心が強く神経質で論争好き。リベラルやフランス、カンボジアに対する妄想ときたら・・・時々、この人の頭は大丈夫なのかと思うほどだ。すごく不快な人物というわけでもないのだが」

 先のアントニー卿は、「さまざまな欠点」を指摘する一方で、好意的な印象もわずかではあるが残している。「陽気で外向的で知性に反した人々と時たま一緒にいると、ヨーロッパ的な価値観が薄れていく。彼らのマナーはすばらしく、習慣にはこだわりが見られ、優雅な身振りをする。われわれをゾウや雄牛にたとえるならば、彼らはガゼルやチョウだ」

■自国への批判も

 報告書の中には、外務連邦省に対する批判も見られる。1998年に赴任先のインドから帰国したデビット・ゴアブース(David Gore-Booth)卿は「わが国の外交の大きな失敗の1つは、『山高帽をかぶり細縞のスーツを着て、軟弱で、シャンパン好き』といった外交官のイメージを払拭できていないことだ」と書き記している。(c)AFP
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