■重村智計氏略歴 1945年、中国に生まれる。早稲田大学卒業。1971年、毎日新聞社に入社、1979年から85年までソウル特派員として北朝鮮に迎合的だった日本の朝鮮半島報道の流れを変える。1989年から94年のワシントン特派員時代には、米朝核交渉で数々の国際的なスクープを報じる。早くから、北朝鮮は戦争できないし、早期崩壊もないと明言した唯一の専門家として知られる。この間、高麗大学大学院、スタンフォード大学へ留学。毎日新聞論説委員を経て、早稲田大学国際教養学部教授。テレビのコメンテーターとしても活躍中。著書に「北朝鮮の外交戦略」「最新、北朝鮮データブック」(ともに講談社ゲンダイ新書)「北朝鮮自壊」(東洋経済新報社・共著)などがある。 「外交敗北」目次 まえがき ─ 拉致は「ファイナル・ボキャブラリー」だった 「ファイナル・ボキャブラリー」としての朝鮮問題 国会対策的手法が「外交敗北」をもたらした 第一章 米国は日朝首脳会談に反対であった 同盟崩壊の危機を招いた首脳会談 ブッシュ政権の北朝鮮政策とは、何か ブッシュは日朝正常化に反対した アーミテージとボルトンの怒り ブッシュ・金大中会談の教訓 米政府は「首脳会談支持」を表明しなかった 日本は濃縮ウラン開発を知らなかった サスピシャス・ガイ(田中均) 日朝正常化を阻止せよ 第二章 外交放棄のミスターXとの交渉 外務省は秘密警察幹部を相手に選んだ 拉致に言及しない「国会対策的外交」 ソ朝同盟の崩壊 ファン・チョルの栄華 ファン・チョルとキム・ヨンスンの没落 ミスターXの栄光と退場 第三章 日朝首脳会談の真実 誰も全員の安否情報を予想しなかった 金正日は全員の安否情報を約束した 「朝鮮語翻訳に数時間」はウソだった 何が「五人生存」と「八人死亡」を分けたのか 五人は戻さない ─ 外交が機能した 利用された政治家たち 金正日にしっぺ返しされた再訪朝 姜東権こそ拉致被害者管理の責任者 第四章 平壌とワシントンからの証言 ミスターXはテレビに映っていた 後ろ盾は平壌の「ラスプーチン」? 工作機関は全員の安否情報に反対した 「生きている拉致被害者四〜五人でいい」 Xは日本の官僚を全面的に信頼した 覚書が存在する? 拉致被害者は生きている 偽札と偽タバコ制裁での崩壊戦略 死んでも核を放棄しない ─ ワシントンの現実主義 第五章 外交敗北 世界的視点での取り組みを 外交とは「理論可能性」を高める作業 外交政策を議論する場がない 終章 日米同盟の再建 歴史的なブッシュ大統領と横田さんの会見 日米同盟はなぜ重要か 国家が機能しなかった なぜ救出できないのか 「政党・議員外交」をやめよ 訪朝団メンバー一覧 あとがき ─ 北朝鮮情報の読みかた