民主党政権が発足してから1ヵ月が経過した。各種世論調査で高い支持率を維持し、まずまずといえるスタートを切った鳩山由紀夫首相だが、本人は公務の合間を縫って、自身の資金管理団体「友愛政経懇話会」(友政懇)を巡る偽装献金問題にも対応するなど忙しい。
偽装献金については、今年7月に公設秘書が死亡した人などの名前を個人献金者として記載した動機について「企業・団体献金が『鳩山はカネを持っているから』ということで、なかなか集まらない。その焦りもあったと思う」と記者団に述べた鳩山首相。この言葉からもわかるように、鳩山家といえば政界でも有数の資産家として知られている。
問題の真相は時間の経過とともに明らかになるとして、いったい首相の資産はどの程度のものなのか。過去に公表された衆議院資産報告書を元に鳩山首相のポートフォリオ(金融資産の一覧表)をご紹介しよう。
まず目を引くのはその巨額な株式だ。東京電力や東芝、キリンなど経営が比較的安定した一部上場の大企業が多く、基本的に長期保有の様子が伺える。だが特筆すべきは9割以上をブリヂストンがしめているということだ。確認しておくと鳩山首相の母方の祖父は、世界一のタイヤメーカー、ブリヂストン創業者の石橋正二郎氏。その長女が首相の母親の安子さんだ。
由紀夫氏はブリヂストン株を正二郎氏から中学生時代に生前贈与を受けたと言われており、安子さんと由紀夫・邦夫(元総務相)兄弟の3人が保有しているブリヂストン株は時価にしておよそ340億円とも。
「株は売買しなければ儲からない」と勘違いしている人もいるかもしれないが、これだけ株式をたくさん保有していると配当金の額だけでもすごい。資金に余裕がない一般の投資家にとって、株式投資は売買で儲けることが中心になりやすいが、お金持ちの株式保有の目的は配当だ。2010年の予想配当を元に計算すると鳩山首相が得る年間の配当金は公開株だけで5,784万円。何もしないでもこの金額が手に入る。これにいくつか持つ未公開株の配当があった場合にはさらに多くの資金が首相の懐に流れ込むことになる。
また株式と比べると見劣りするが、定期預金も12億8100万円と半端な額ではない。現在の大手金融機関の大口定期預金の金利は10年もので0.6%程度と歴史的な低金利が続いているが、それでも年間1300万円の利息が見込まれる。実際には株式の配当金も預金の利息も税金が課されるが、それを差し引いても一般のサラリーマンならば働かずに遊んで暮らせるほどのお金が毎年入ってくるのは何とも魅力的だ。
一方、土地建物の評価額は3億7000万円に収まっているが、時価に直すと何倍にも跳ね上がるとも言われており、資産の時価総額はいったいいくらになるのか興味深い。しかしそれだけの資産があってもなお、偽装献金していたとしたらやはり政治には莫大な資金が必要だということなのだろうか・・・。
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