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【社説】ベトナムに対する韓国の接し方

 李明博(イ・ミョンバク)大統領は20日、東南アジア3カ国歴訪のため、最初の訪問国・ベトナムの首都ハノイに到着した。韓国とベトナムは今回の李大統領訪問(国賓)で、両国関係を「戦略的協力パートナー関係」に格上げし、発展させたいとしている。今年の両国の貿易額は、100億ドル(約9070億円)を上回ることが確実視されている。ベトナムから見れば、韓国は6番目の貿易相手国となった。わずか40年前に戦争を経験した両国が、修交17年でこれほどの関係にまで発展したというのは、隔世の感がある。

 しかし先日、両国の間では穏やかでない出来事が起こった。韓国の国家保勲処(国家功労者を礼遇し、軍人・退役軍人の支援事業を行う中央省庁)が立法予告した「国家功労者の礼遇および支援に関する法律」の改正案に、「世界の平和維持に貢献したベトナム戦争功労者と枯葉剤による後遺症が疑われる患者を…」という文言が記載されていた。するとベトナム側は、「それではわたしたちは世界平和を破壊した勢力なのか」と抗議してきた。李大統領のベトナム訪問まであと数日という時点で起きた事態に、柳明桓(ユ・ミョンファン)外交部長官は急きょ、ベトナムに向かった。そして結局、法案からは「ベトナム戦争」という言葉を削除するとともに、ベトナム戦争に参戦した人に対しては、原案通り国家功労者とすることで収拾がついた。この法案は、これまで国家功労者指定を受けられなかったベトナム戦争参加者を功労者として認めるのがその中核だった。

 今回の出来事は、韓国も今や他国が注意深く見守る国の一つになったということを意識していなかったために起きたと言えるだろう。ベトナムにしてみれば、ベトナム戦争に対する見方が韓国と全く違うのは当然のことだ。ベトナムは戦争で多大な被害を受けた。他国の立場をその国の目線で見て、理解するということは、韓国が国際社会のリーダーシップを取るのに欠かせない条件だ。

 韓国がベトナムとの貿易で得た通算黒字額は308億ドル(約2兆8000億円)に上る。韓国の貿易相対国のうち、黒字額はベトナムが6位で、黒字幅は毎年拡大している。韓国企業がベトナムに投資した金額は世界2位で、約1800の韓国企業がベトナム人労働者35万人を雇用している。ベトナム人の間では韓流ドラマ・映画がブームを呼んでおり、韓国人男性と結婚するベトナム人女性や、韓国にやって来るベトナム人労働者の数は非常に多い。

 ベトナムは人口や潜在力から考えると、いつかは韓国の3大貿易地帯である東南アジア諸国連合(ASEAN)の中心国に浮上する国だ。韓国が今後、ラオスやミャンマーへ進出する際には、足がかり的な役割を果たす国でもある。すでにベトナムの政治的・軍事的な地位は、ASEAN内部の意志決定に相当な影響力を及ぼしている。だが、この重要な立場にある国には韓国との悲しい歴史がある。韓日関係を見れば、どちらが先に理解し、注意を払うべきか、言うまでもないだろう。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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