サイエンス

文字サイズ変更
はてなブックマークに登録
Yahoo!ブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷

エコマグロ:静岡・三保半島で成長中 水槽で養殖、数年後出荷--東海大

 ◇3年で9キロに

 陸育ちの“エコマグロ”をブランド化しよう--。駿河湾を望む静岡市の三保半島で、マグロを陸地の水槽で養殖する研究が進んでいる。海中のいけすに比べ赤潮被害を受けず海を汚さないのが特徴で、世界的に珍しく環境にも優しい。既に9キロ近くまで育ったマグロもあり、関係者は数年後の出荷を目指している。【竹地広憲】

 研究を進めるのは、三保半島にキャンパスを置く東海大海洋学部の秋山信彦教授(48)と静岡県焼津市の技術開発会社「WHA」。

 同学部の構内に円形水槽(直径約5メートル、深さ約1メートル)4基を設け、3年前からクロマグロ(本マグロ)の幼魚を育てている。水は構内の深さ約30メートルの地中からくみ上げた「地下海水」を使用。細菌が繁殖しにくく、水温も17~20度で安定しているなどの利点があるという。

 秋山教授によると、マグロは酸素を取り込もうと絶えず泳ぎ回り、光に反応して飛び出すこともあるため、そのまま水槽に入れると壁に激突してしまう。そこでマグロが近づきたがらない気泡を水槽の内側に張り巡らせたり、水槽を設置している部屋の出入り口に二重幕を張って外光を遮断し、水流を作るなどの工夫を重ねた。

 マグロは先月までに、現在の水槽では限界の8・9キロまで成長。解体したところ、トロや赤身の脂などは市場に出回るマグロに近いレベルだったという。今後、採算ラインの約30キロまで育てるため大きな水槽を新設する。WHAの萩原弘之社長(51)は「マグロの漁獲規制の動きもあり、卵からの養殖も目指したい」と意欲的だ。

毎日新聞 2009年10月19日 東京夕刊

PR情報

関連記事

サイエンス アーカイブ一覧

 

おすすめ情報

注目ブランド