【日中韓露】 「歴史は自己批判の道具であるべき」 〜未来志向を妨げる「歴史・領土」問題 [10/20]
- 1 :憂哀φ ★:2009/10/20(火) 20:06:03 ID:???
- 他のアジア諸国と比べると、日本に最も近い近隣国は長年、日本の過去の侵略行為について、
許すことも、忘れることもしない強硬な姿勢を貫いている。
1905年から1945年までの朝鮮半島の暴力的な植民地化、そして1931年から徐々に進み、
最終的には全面戦争に発展した中国の占領。どちらの計画も容赦なく進められ、民間人の
虐殺や拷問、工場、鉱山、従軍慰安所での奴隷的重労働を伴った。
そこで、新しく日本の首相に就任した鳩山由紀夫氏が「民主党新政権は近隣諸国との関係を
変革する」と約束したことは、韓国や中国を喜ばせた。鳩山首相は、10月8日にソウルで韓国の
李明博(イ・ミョンバク)大統領に、続いて北京で開かれた3カ国首脳会談で中国の指導者たち
に関係改善を約束した。
これまで長く日本の政権を握ってきた自民党は、近隣諸国との関係については曖昧な言説に
終始したが、新政権はこれとは違い、首相自身の言によると「歴史をしっかり見つめる勇気」を
持っているという。
韓国の李大統領と中国の温家宝首相は、鳩山首相の姿勢を歓迎した。歴史問題に真摯に
取り組むことで、現代の課題――特に、北朝鮮に核開発を断念させることと、相互の
経済協力を深めること――にともに立ち向かうこともずっと容易になるはずだと、中韓の
首脳は断言した。
李大統領は、鳩山首相は「未来志向の関係」に道を拓いたとしている。過去に計画された
日本と韓国を結ぶ日韓海底トンネルを復活させるという話も出てきている。天皇が初めて
韓国を訪問する可能性もある。韓中両国は、歴史教科書を3カ国共同で作成するという
提案についても高く評価している。
話がそれほど単純であれば良いのだが・・・。友好ムード一色の現在ではあるが、やはり
「未来志向」の関係を目指した過去の期待は、たびたび打ち砕かれてきた。その障害の
1つが領土問題である。
日本は韓国が実効支配する岩礁、独島(日本名:竹島)を自国領と主張している。一方、
日本が領有する尖閣諸島については中国が領有権を主張している。さらに、ロシアが
1945年8月から実効支配する北方4島についても、日本は領有権を主張している。
中国、日本、韓国、ロシアの外交筋は長年、本誌(英エコノミスト)に掲載される地図に異を
唱えてきた。日本は独島は「竹島」と呼ぶべきだと主張する。韓国は日本海を「東海」と呼ぶ
べきだと言って譲らない。
独島/竹島を巡っては、日韓両国の外務省はそれぞれにサイバー「歴史館」のようなものを
作り(韓国は9カ国語で公開している)、バーチャルな世界で戦いを繰り広げている。
だが、どちらの主張も滑稽でしかないように見える。日本の主張は、1905年の竹島領有確認
が日韓併合の最初の一歩だったという事実に触れていない。一方韓国は512年以来独島は
「韓国」領だと言うが、その名前の国は1948年になるまで存在しないのだ。
また、韓国は北朝鮮と国家としての正当性を争っており、国の名称として古文書では「朝鮮」
の方が一般的だが、近年ではこの言葉は北を表すようになっているため、日本海についても
「朝鮮」海ではなく「東」海という名前を主張している。他に何もない岩の塊は、はるかに広範
に及び、厄介な歴史問題を象徴する存在となっている。
ソース:JBpress(The Economist)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/1966
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/1966?page=2
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/1966?page=3
(以下>>2-10に続く)
- 2 :憂哀φ ★:2009/10/20(火) 20:06:26 ID:???
- (>>1の続き)
日本が侵略についてもっと率直に認めれば、状況は好転するのかもしれない。日本は今まで
何度も過去の野蛮な行為を謝罪しているが、その言葉は曖昧で、定義のはっきりしない損害
について「深い反省」を述べるにとどまっている。
反省の弁は、戦後50周年の終戦記念日に当時の村山富市首相が行って以来、謝罪のひな形
となっている談話を含めて、そのほとんどがまず日本国民への謝罪から始まっているように
聞こえる。鳩山首相も、皇室がタブーを破り、昭和天皇(第2次大戦当時の天皇)に代わって
罪を認めるよう求めてはいない。
また、単なる談話や声明ではなく、国として過去の侵略に対する悔恨を表明する法案を通すよう、
国会に対し提案したわけでもない。つまり、この件に関しては、鳩山首相は型破りな変革に
向かっているようには見えない。
もっとも、韓国や中国の首脳も、鳩山首相にそれを望んでいないのかもしれない。過去の悪行を
反省していないと言って折に触れて日本を叩けるというのは、そう悪くない話だからだ。
しかし、コネチカット大学のアレクシス・ダッデン氏は、曖昧な謝罪の言葉が重ねられるほど、
帝国主義の被害を実際に受けた人々は、高齢化して数少なくなったとはいえ、態度をさらに
頑なにしていると指摘する。
例えば、現在の韓国地域の出身者が最も多くを占めた戦時「慰安婦」(軍のための性の奴隷)の
多くは、個々人への謝罪と国からの補償を求めている。痛ましい証言が十分にあるにもかかわらず、
日本は一般的な責任しか認めていない。日本の外務省もこうした女性たちへの直接の言及は避け、
「いわゆる従軍慰安婦問題」と表現する。
2007年に米国の連邦議会が日本に慰安婦制度について謝罪するよう求める決議を採択した時、
民主党の小沢一郎氏(当時は同党の代表、現幹事長)は、日本の国会は広島と長崎への原爆
投下を非難する決議をすべきだと威嚇的な発言をした。
小沢氏の慰安婦に対する侮辱的な言動はグロテスクだが、日本人の考えを暗に示すものでも
ある。今日でも、原爆の惨劇が他のアジア諸国での破壊行為の罪をすべて洗い流したと考える
日本人は多いのだ。
しかし韓国政府は、慰安婦問題に対してよりも、鳥糞石の点在する岩礁への日本の領有権主張に
対しての方が感情的になる。
結局のところ、慰安婦を前線に送った男たちは、植民地支配を担った朝鮮総督府のために働く
朝鮮人だったのだ。そのうえ1948年以降は、日本の手先となって抑圧に加担した人々は米軍の
保護の下で新しく発足した韓国政府に取り込まれた。今さらその歴史を蒸し返されても、都合が
悪いのだろう。
それゆえ、公式の歴史は真実を追究するのではなく、逆に真実から逸れていく傾向が強い。
昨年の北京オリンピックでの派手なショーや今月の建国60周年となる国慶節で披露された
中国の歴史を見れば分かる。60年間の共産党支配のうち、前半の(悲惨な)30年間は見事に
消されている。
稀代の歴史家であるコロンビア大学のサイモン・シャーマ教授の言葉を借りるなら、歴史は
自己批判の道具であるべきで、自己正当化の手段であってはならない。独裁政権の中国だけ
でなく、民主国家の韓国や日本でも、歴史が自己批判の道具になるまでには、まだ相当長い
道のりがある。
(終わり)
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