世界天文年2009日本委員会 公認イベント
オリオン座流星群は、ハレー彗星を起源とする流星群です。2006年に突然活発化し、ここ数年流星数が多くなっています。
そこで国立天文台では、今年も活発な活動が期待されるこのオリオン座流星群を観察する「見えるかな?オリオン座流星群」キャンペーンを行います。オリオン座流星群の活動が活発になるかもしれないと予想される10月19日の夜から23日の朝までの4夜の間に、15分間以上星空を眺め、結果を報告ページから報告していただくというものです。
観察に適している時間帯が真夜中から明け方となり、少し大変かもしれませんが、この機会にゆっくりと夜空を眺めてみませんか。これまで流星を見たことのない方なども、ぜひお気軽にご参加ください。
「曇ってしまった」「流星が見えなかった」なども立派な観察結果ですので、是非報告してください。また、ご家族や友人など何人かで観察をしたときには、なるべく人数分別々にご報告ください。
ご報告をいただく項目は、「流星を見た時刻」「流星を見ていた時間」「群流星を区別したかどうか」「都道府県」などです。
→観察報告のページはこちら
※10月19日より報告受付を開始しました(10月24日頃まで受付予定)。
携帯電話用のキャンペーンページへは、 http://www.nao.ac.jp/i/phenomena/20091019/index.html からアクセスしてください。
なお今回の携帯電話用ページでは、通常のキャンペーンと比較してコンテンツが限定されます。あらかじめご了承ください。
携帯電話で国立天文台のページを見ようとしたときに、携帯電話側の制限によって、ページを見ることができない場合があります。そのような場合には「携帯電話のアクセス制限ついて」をご覧ください。
オリオン座流星群の活発さの変化をほぼリアルタイムでお知らせするために、報告された流星の1時間ごとの平均数を10分おきに自動集計し、インターネット上で公開します。オリオン座流星群がいつ活発になったのか、この集計からわかるかもしれませんので、ぜひご注目ください。
この集計では、オリオン座流星群の活発さを知るため、オリオン座流星群の流星を他の流星と区別して数えた報告だけを集計の対象とします。ぜひ、オリオン座流星群の流星とそうでない流星の区別のしかたをマスターして、この集計に参加してください。(もちろん、「オリオン座流星群の流星かどうか区別しなかった」という方も、全体の集計の対象になりますので、どんどん報告してくださいね。)
2009年は、イタリアの科学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡を夜空に向け、宇宙への扉を開いてから400年経った節目の年として、国際連合・ユネスコ・国際天文学連合によって「世界天文年」と定められました。国立天文台ではこの2009年に、「世界天文年2009日本委員会公認イベント」として、「三大流星群」と呼ばれる3つの流星群(しぶんぎ座流星群、ペルセウス座流星群、ふたご座流星群)を対象にして、それぞれの活動時期に合わせた3つのキャンペーンを「世界天文年2009 公認イベント」として展開中です。
今回の対象となる「オリオン座流星群」は、三大流星群ではありませんが、三大流星群に並ぶほどの流星数が見られるかもしれませんので、キャンペーンを行うことになりました。ぜひこの機会にご参加ください。
また、今回のキャンペーンに参加して観察結果の報告後にメールアドレスを登録すると、次のキャンペーンのお知らせをそのアドレスにお届けします。ぜひ登録をお願いします。
流星(「流れ星」とも言います)とは、宇宙空間にある直径1ミリメートルから数センチメートル程度のチリの粒が地球の大気に飛び込んできて、大気と激しく摩擦を起こし、高温になると同時に光って見える現象です。
このようなチリの粒を放出しているのは、多くの場合、彗星(「ほうき星」とも言います)です。彗星から放出されたチリの粒の集団は、それを放出した彗星の軌道上に密集しています。彗星の軌道と地球の軌道が交差している場合、地球がその位置にさしかかると、チリの粒がまとめて地球の大気に飛び込んできます。地球が彗星の軌道を横切る日時は毎年ほぼ決まっていますので、毎年特定の時期に特定の流星群が出現するわけです。
このとき、地球に飛び込んでくるチリの粒はみな同じ方向からやってきます。それぞれのチリの粒はほぼ平行に地球の大気に飛び込んできますが、それを地上から見ると、その流星群に属している流星は、星空のある一点から放射状に飛び出すように見えます。流星が飛び出す中心となる点を「放射点」と呼び、一般には、放射点のある星座の名前をとって「○○座流星群」と呼ばれます。
オリオン座流星群の場合、その元となるチリの粒を放出しているのは、ハレー彗星(1P/Halley)で、このような天体のことを「母天体」とか「母彗星」と呼びます。
流星の出現数ですが、流星群の放射点が地平線付近にあるときには、チリが大気にななめから飛び込んでくるためにチリの数は少なく、流星はほとんど出現しません。流星群の活動の活発さが変わらないと仮定すると、放射点の高度が高くなるにしたがって流星の出現数は多くなります。
オリオン座流星群は、10月21〜22日ごろを中心に活動している流星群です。毎年観察される流星群ですが、これまでは、観察条件が良い場所で最も活発な時期に観察しても、1時間あたり20個程度という中規模な流星群の一つでした。
しかし、この状況は2006年に一変しました。10月21日の夜から22日の明け方にかけて、オリオン座流星群の流星が、1時間に50個以上も観察されたのです。日本の熟練観測者の中には1時間に100個を超える流星を数えた人が出るほどでした。2006年の出現状況は、オリオン座流星群としては過去最大級と言えるものでした。
その後の研究でオリオン座流星群は、2006年から2010年頃まで流星数が増加する状況が継続していることが判明しました。実際2007年には1時間50個以上、2008年にも1時間に30〜40個程度という出現が観測されました。今年2009年にも、かなり活発な出現が期待されるのです。
オリオン座流星群の活動は、例年10月21日前後に最も活発(極大)になります。しかし、2006年には約4日間にも渡って活発な状況が継続しました。今年も、いつ極大になるかわかりません。みなさんにも、少々長い期間とはなりますが、10月19日から23日頃まで、最も活発になる極大がいつになるのか注目していただきたいと思います。
またオリオン座流星群は、速度がとても速い流星群の一つです。このため、明るい流星も多く見られます。また流星が流れた後、流れた経路に沿って「痕(こん)」と呼ばれる雲のような筋が残ることもあります。ぜひ注意して観察してみてください。
望遠鏡や双眼鏡などの特別な道具は必要ありません。肉眼で観察してください。
(望遠鏡や双眼鏡を使用すると、見ることのできる範囲がたいへん狭くなるために、かえって観察しづらくなります。)
地域で言えば、日本全国どこででも流星を見ることができます。(南半球の高緯度地域を除く、地球上の全域で流星が出現します。)
流星を観察する場所ですが、できるだけ、街灯など人工の明かりが少ない場所を選びましょう。流星などほとんどの天体が出す光は、街灯の明かりなどに比べるととても弱いものです。人工の明かりが少なければ、人工の明かりに邪魔されて見ることができなかった暗い流星も見ることができるようになり、それだけ、多くの流星を見ることができます。
また、大都市には人工の明かりがたくさんあります。大都市から離れることでも、暗い流星を見ることができるようになります。
オリオン座流星群の流星は、放射点がある程度の高さになる22時頃から出現し始め、放射点の高度が高くなる真夜中以降、たくさんの流星が出現するようになります。空が明るくなる直前の4時頃に放射点の高度が最も高くなり、観測条件も良くなりますので、なるべくなら空が明るくなり始める頃まで頑張ってみることをお勧めします。
また、月明かりも、たくさんの流星を観察できるかどうかに大きく影響します。明るい月が空にあると、月明かりに邪魔されて暗い流星が見えなくなり、観察できる流星数は減ってしまいます。しかし2009年のオリオン座流星群では、流星群が活動し始める22時よりも前に月は沈みます。月明かりの影響を全く受けずに観察することができるので、絶好の条件と言えます。
オリオン座流星群の活動は21日頃に極大を迎えます。しかし、2006年に活発化したときには、21日頃から24日頃までの4日間も活発な期間が続きました。今年も、どの日のどの時刻に極大になるかは、予想が難しい状況です。
そこで今回のキャンペーンでは10月19日の夜から22日の夜(23日の明け方まで)にかけて空を眺めるよう呼びかけています。ぜひご注目ください。
また、それ以外の日でも、20日や21日の夜を中心とした前後1週間ぐらいは流星群が活動していますので、極大のときより少なくはなりますが、他の夜にも流星を見る機会はあります。
→各地の月の出時刻や日の出時刻を調べるには、暦計算室の「こよみの計算」へ
※ 空が明るくなり始めるのは、日の出の約1時間半前です。
オリオン座流星群の放射点は、オリオン座の中で、隣にあるふたご座との境界付近にありますが、放射点のある方向だけに流星が出現するわけではなく、流星は夜空のどこにでも現れます。放射点近くに出現する流星は、こちらに向かって飛んでいるために短い軌跡の流星が多く、一方、放射点から離れた方向では、流星の軌跡を横から見ることになるために、長い軌跡の流星が多く観察されます。
ですから、放射点の方向にはあまりこだわらず、できるだけ空が広く見渡せる場所を選んで、空の広い範囲に注意を向けるようにしましょう。空をより広く見渡しているほうが、より多くの流星を捉える可能性が高くなります。
図は、10月21日前後の0時(真夜中)頃の、東の方角の星空を示しています。
星は日周運動によって動いています。0時よりも何時間も前や、0時から何時間も経つと、星の見える位置がこの図とは違いますのでご注意ください。(見る場所による差はあまりありませんので、東京以外でもこの図を利用できます。)
ひと晩のうちには、どの流星群にも属していない流星もいくつか出現します。このように「群」に属さない流星は「散在流星」と呼ばれます。また、この時期、出現数は少ないながらもオリオン座流星群以外の流星群も活動しています。そのため、この時期に流星を見たからといって、その流星が必ずオリオン座流星群の流星であるとは限りません。
自分が見た流星がオリオン座流星群の流星かどうかを判断するには、その流星の軌跡を逆方向に伸ばしてみます。たどった先がオリオン座流星群の放射点を通れば、その流星はオリオン座流星群の流星である可能性が高いと考えることができます。(オリオン座流星群の流星は、その放射点を中心にして放射状に出現することを思い出してください。)
放射点の位置については、国立天文台暦計算室の「今日のほしぞら」もご利用ください。代表的な都市の星空の様子(惑星や星座の見え方)といっしょに、オリオン座流星群の放射点の位置を調べることができます。
→暦計算室「今日のほしぞら」([オリオン放射点]と表示されています)
遅い時刻に屋外で行動することになりますので、事故などには十分注意してください。特にお子さんは、保護者の方と一緒に行動するようにしましょう。また、まわりの皆さんの迷惑にならないよう気をつけてください。
明るい屋内から屋外に出てすぐには、目が暗さに慣れていません。何分か屋外にいて目を慣らしてから、やっと星空や流星などの暗いものが見えるようになります。屋外に出て流星が見えないからといってすぐにあきらめてしまわずに、目が慣れるまでしばらく(15分ぐらい)待つことも必要です。
また、普段の生活では、夜の屋外で何十分もじっとしていることはなかなかないかもしれません。季節は秋ですが、明け方には真冬並の寒さになることもありますので、十分注意してください。普段外出するときよりも厚着をする、防寒着や寝袋を使うなど、寒さ対策を十分にして観察に望んでください。
立ったままで流星を観察すると、上を向いた無理な姿勢を長時間続けることになります。レジャーシートなどを用意して、寝転がったまま観察できる準備をしておくと、楽に長時間観察を続けることができます。
本ページで使用している画像の著作権と利用に関しましては、以下の説明に従ってください。