(英エコノミスト誌 2009年10月17日号)
日本と周辺諸国との一時的な雪解けは、永続的な和解を告げるものではなさそうだ。
他のアジア諸国と比べると、日本に最も近い近隣国は長年、日本の過去の侵略行為について、許すことも、忘れることもしない強硬な姿勢を貫いている。
1905年から1945年までの朝鮮半島の暴力的な植民地化、そして1931年から徐々に進み、最終的には全面戦争に発展した中国の占領。どちらの計画も容赦なく進められ、民間人の虐殺や拷問、工場、鉱山、従軍慰安所での奴隷的重労働を伴った。
そこで、新しく日本の首相に就任した鳩山由紀夫氏が「民主党新政権は近隣諸国との関係を変革する」と約束したことは、韓国や中国を喜ばせた。鳩山首相は、10月8日にソウルで韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領に、続いて北京で開かれた3カ国首脳会談で中国の指導者たちに関係改善を約束した。
これまで長く日本の政権を握ってきた自民党は、近隣諸国との関係については曖昧な言説に終始したが、新政権はこれとは違い、首相自身の言によると「歴史をしっかり見つめる勇気」を持っているという。
韓国の李大統領と中国の温家宝首相は、鳩山首相の姿勢を歓迎した。歴史問題に真摯に取り組むことで、現代の課題――特に、北朝鮮に核開発を断念させることと、相互の経済協力を深めること――にともに立ち向かうこともずっと容易になるはずだと、中韓の首脳は断言した。
李大統領は、鳩山首相は「未来志向の関係」に道を拓いたとしている。過去に計画された日本と韓国を結ぶ日韓海底トンネルを復活させるという話も出てきている。天皇が初めて韓国を訪問する可能性もある。韓中両国は、歴史教科書を3カ国共同で作成するという提案についても高く評価している。
話がそれほど単純であれば良いのだが・・・。友好ムード一色の現在ではあるが、やはり「未来志向」の関係を目指した過去の期待は、たびたび打ち砕かれてきた。その障害の1つが領土問題である。
日本は韓国が実効支配する岩礁、独島(日本名:竹島)を自国領と主張している。一方、日本が領有する尖閣諸島については中国が領有権を主張している。さらに、ロシアが1945年8月から実効支配する北方4島についても、日本は領有権を主張している。
中国、日本、韓国、ロシアの外交筋は長年、本誌(英エコノミスト)に掲載される地図に異を唱えてきた。
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