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外科系7学会が手術症例データベース構築へ

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 日本外科学会など外科系の7学会が「手術症例データベース」の構築に着手した。各学会が認定する全国の専門医らによる手術の実施状況のほか、手術後の回復度合いなどに関する情報を収集。それぞれの地域や施設でどのような医師がどういった手術を行っているかや、地域・施設ごとの医療レベルは適切か、といった情報を入手できるようにする。手術症例のデータベースは現在、日本心臓血管外科学会などが単独で運営しているが、外科系学会による統一した取り組みは前例がないという。

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 若手の立ち去りなどで外科医不足が深刻化する中、手術症例データベースを活用して、▽医師不足の緩和につなげる▽適切な診療報酬の設定を訴え、医師の労働環境改善を目指す▽地域や施設の医療水準を評価する―ことが狙い。
 日本外科学会の岩中督(いわなか・ただし)理事・情報広報委員会委員長は、「日本では誰がいつどこで、どのような材料を使って手術をしても、手術料は同じで、しかも低過ぎる。いくら働いてもしんどいだけで、外科医は嫌になり始めている。頑張れば報われる仕組みをつくり、若手が目指したくなる環境を整えたい」と話している。

 手術症例データベースの構築に参加するのは日本外科学会のほか、▽日本呼吸器外科学会▽日本消化器外科学会▽日本心臓血管外科学会▽日本小児外科学会▽日本乳癌学会▽日本内分泌外科学会−の各専門学会。
 手術症例データベースは、病名や術式名、術者や助手の氏名などの基本情報に、専門学会が合併症の有無や術後経過、退院日などの臨床情報を追加する仕組み。各学会で構成する「外科関連専門医制度委員会」内に設置して一元管理する。

 各学会が認定する専門医や、専門医の資格取得を目指す若手医師にデータの入力を求め、年間100万件規模のデータ収集を目指す。データの回収率を高めるため、データベースの「手術症例情報」と、専門医制度における「手術実績」とをリンクさせる形を検討している。ただ、施設や専門医が特定できるような形でのデータ公開や、施設間の手術成績を比較するための活用はしない。

 現在は、全学会共通の入力項目がほぼ策定され、データベースを管理・運営する組織の構築が始まった段階。来年度中に全学会のネットワークを完成し、11年度からデータ入力をスタートさせたい考えだ。

 地域・施設ごとの手術症例数や、各地域に外科医がどれだけいるかといった情報は、DPCデータや「医師・歯科医師・薬剤師調査」などを通じて現在でも行政は把握しているが、実際にどのような医師が手術を担当しているかまではカバーしていない。このため、例えば小児の虫垂炎の手術で、どのような医師が実際に執刀しているかを示すデータはない。
 また現在は、小児外科医が小児を手術した場合など、領域ごとのデータは各学会が把握している。しかし、学会間でデータ共有していないため、小児の虫垂炎を消化器外科医が手術するようなケースまではカバーできていない。

 これに対して手術症例データベースでは、ほぼすべての領域の外科手術を把握するので、小児をどのような医師が手術しているか、その地域に小児外科医は適正に配置されているかなども明らかになる。
 また、各領域の専門医とそれ以外の医師が執刀した場合の成績を比較したり、症例ごとの重症度や難易度などを調整した上で手術成績を分析したりできるようになる。
 さらに、外科専門医だけでなく、その上位に位置付けられる「サブスペシャリティー」の専門医の配置状況なども把握できるため、岩中氏は、行政が施策の方向を検討する際にも役立つとみている。


更新:2009/10/20 13:48   キャリアブレイン

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