なぜ構造改革の「仲間」がみなうまい仕事にありついているのか
かんぽの宿に似た「出来レース」はまだある。いや、これはもっとひどい例かもしれない。やはり宮内氏と同じく、小泉・竹中構造改革の同志である奥谷禮子氏の場合だ。
奥谷氏といえば、厚生労働省の労働条件分科会委員という立場で、「過労死は自己管理の問題」と発言して物議を醸した人物である。
今から約2年前になるが、彼女が代表取締役社長を務める人材派遣会社ザ・アールが、2003~2007年の4年間に、郵政公社時代から研修の仕事を7億円近く受注していたことが「しんぶん赤旗」(2007年3月18日付)で報じられた。日本共産党の吉井英勝衆院議員の資料要求に対して、日本郵政公社が明らかにしたものだ。「マナー向上プログラム」「営業スペシャリスト要請研修」「電話応対スキル向上研修」といった研修に対して、郵政公社から年間1億数千万円の巨費が支払われていたのである。
もちろん、ザ・アールは入札を経てこの仕事を獲得している。だが、誰もが疑問に思うだろう。なぜこうも改革の仲間たちばかりが、うまい仕事にありついているのか。
しかも現在、奥谷禮子氏は日本郵政株式会社の社外取締役なのである。これでは仲間うちの取引だと疑念を持たれても仕方がないのではないか。
また、郵政公社では業務の効率化を図るとして「トヨタ方式」を導入したことが知られているが、その際に2002~2007年度の5年間に3億円近くのコンサルティング委託費用を、トヨタ自動車に支払っていることが、やはり同紙で指摘されている。そしてまた、トヨタ自動車取締役相談役の奥田碩氏も、小泉・竹中改革の同志であり、日本郵政株式会社の社外取締役なのである。
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