問題は宮内氏が構造改革の「仲間」であるということにある
かんぽの宿売却問題は、見れば見るほど不可解なことばかりである。まず、簡単にここまでの事実関係を中心に整理していくことにしよう。まず、鳩山大臣に待ったをかけられたときの日本郵政とオリックスの言い分である。
日本郵政側は、売却を急いだ理由を次のように説明する。「売却対象の70施設が、全体で年間40億円台の赤字を出していることから、早期売却を行いたい。早く売らなければ赤字が累積するだけだ」というわけだ。
オリックス側は、宮内氏に職務権限がないことをアピールした。宮内氏が関与した総合規制改革会議や規制改革・民間開放推進会議では、郵政民営化を採り上げた事実はないというのである。
だが、問題はそうしたレベルのことではない。宮内氏に職務権限があるかどうかではないのだ。最大のポイントは、宮内氏は誰がどうみても小泉・竹中改革の同志であるという点にある。つまり、仲間うちで取引しているのではないかということが一番の疑惑なのだ。
そういう疑念をもってみると、さまざまな問題が見えてくる。そもそも、かんぽの宿の108億円という異常に安い落札価格自体が不可解である。わたしは、売却リストにある「ラフレさいたま」という施設にしばしば足を向ける機会があるのだが、さいたま副都心にあるこの施設だけでも100億円はするとされている。
確かに、かんぽの宿の従業員の雇用を維持するという条件はついている。だが、それは2年限りであって、それほど大きな損失にはならないはずだ。全体で108億円というのは、あまりに安いと考えるのが常識だろう。
こんな安い価格がついた理由として、入札の過程が問題になっているのはご承知の通りだ。日本郵政が売却先を公募したのは昨年4月のこと。それに対して、応募は27杜。2度の競争入札を経て、昨年末にオリックスへの一括譲渡が決まったということになっている。そう聞けば、誰だって一番高い価格で入札したオリックスが競り勝ったと思うところだが、事実はそうではないようだ。
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