三浦小太郎氏が四トロ同窓会三次会で脱北者の保護や受け入れに関する左右の連携を提案し、草加耕助氏のブログで取り上げられた。
草加氏自身は三浦氏の提案に賛成しているようだが、はっきりしない。postx氏と同様、内容的に正しくても右翼の提案に同調するのは躊躇してしまう、というのが本音なのだろう。
その感覚はわからないわけでもない。私自身、北朝鮮の人権状況のひどさに気がついてから、実際に運動に関わるまで、かなり時間がかかった。右翼の北朝鮮叩きに同調したくないという気持ちは強かったし、いまでも強い。しかし結局、そういう「左右の安全確認」よりも、北朝鮮の人権状況を見過ごせないという判断を優先させることにした。
草加氏は「私はこういう『他人の人権を尊重する右翼』というのは、三浦さんしか見たことがないのですが、これは層として存在するものなのでしょうか?」と疑問を投げかけている。私の答えはイエスだ。拉致被害者の救出を目的とした救う会という重要な例がある。私は現在は救う会を支持していないが、拉致という人権侵害を世論に訴え、日本政府に圧力をかけ、ついに被害者の帰還を実現させたことは重要な功績と言わなければならない。
拉致を「疑惑にすぎない」と軽視してきた左翼は9/17に手痛い敗北を蒙った。そして今、北朝鮮人権法は第二の敗北の始まりになろうとしている。この法律によって北朝鮮の体制が変わったとき、解放された人民はブッシュや小泉に感謝の言葉を述べ、反対した左翼を白い眼で見ることになるのだ。
私は一昨年、太田昌国氏の『「拉致」異論』を書評したとき、左翼には「巻き返しのチャンス」がある、と書いた。
北朝鮮の問題は既に拉致問題にとどまらない広がりを見せている。飢餓、強制収容所、難民などは拉致と同等の重みを持ち、緊急に解決しなければならない問題だ。これらの問題に真剣に取り組めば、北朝鮮の体制が変わった時には民衆同士の真の友好関係が生まれるだろう。現在の状況は厳しいものだが、巻き返しのチャンスもあるのだ。
このときよりも状況は厳しくなった。アメリカにつづいて日本で北朝鮮人権法が成立してしまえば、「人権」の看板を右翼から取り返すことはもはや不可能になるからだ。しかしそれでも、日韓ネットや韓国の参与連帯のように北朝鮮人権法に反対するのは愚かなことだ。自らすすんで断崖へと突進するようなものである。
投稿者 kazhik : 2005年2月23日 21:10>私の答えはイエスだ。拉致被害者の救出を目的とした救う会という重要な例がある。
ふむふむ、すると「救う会」は右翼であり、かつ価値観の違う人の意見や人権も充分に尊重する自由主義的な団体でもあるということでよろしいんでしょうか?
たとえば「私は靖国に参拝するが、良心から靖国に反対している人の気持ちも充分に理解するし、その心情は心情として受け止める。彼らの主張を圧殺するつもりは毛頭ない」と言える団体が「救う会」なのでしょうか?
だとしたら「救う会」への印象が随分と変わるのですけど。
草加耕助のコメント(2005年2月25日 04:24)
以前何度か救う会の集会に出たときの印象はそういうものです。街宣右翼みたいな連中も来ていましたが、主催者が規制しているように見えました。拉致問題とセットで靖国参拝が呼びかけられたり改憲が主張されたりするようなこともありませんでした。賢い「軍師」がいるみたいだな、と思いました。
しかし今の救う会はそうではなくなっていると思います。「拉致問題の排外主義的利用に反対する」(*)という文章で書いた通りです。
(*) http://www.asiavoice.net/nkorea/20040203.html
kazhikのコメント(2005年2月25日 07:41)
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