ハーネマンによる概念提唱から2世紀以上がたち、今なおこうやって論文が出ては論争が続いているということは、ホメオパシーが欧米社会に民間療法として広く根付いているということを意味する。
なぜ、それほどまでにホメオパシーは普及したのだろうか。
私は、ハーネマンがホメオパシーを提唱した時期に関係があると見ている。
ハーネマンは、自らの主張をまとめた著書「オルガノン」を1810年に出版している。この時点で西洋医学は、「病気を治療する技術」としては全く未発達だった。
私たちは、杉田玄白や前野良沢が、進んだオランダの医学書に驚き、苦心して「解体新書」を翻訳した(1774年に出版)というエピソードを知っている。だから、19世紀初頭でも西洋医学は東洋医学に比べてずっと進歩していたと思い込んでしまいがちだ。しかし、実際にはそうではなかった。欧州では確かに解剖による人体の理解は進んでいた。しかし、19世紀になるまで具体的な治療法に関しては、科学的根拠を持つものは皆無といっても良い状況だったのである。
例えば、日本では戦国時代から傷を焼酎で洗うという治療法が知られていた。細菌も知らないし、感染症という概念もないけれども、「傷口を清める」という概念は持っており、術としてのアルコール消毒は存在したわけだ。
しかし、欧州においてハンガリー人の医師イグナーツ・ゼンメルワイスが、消毒の概念を提唱したのは実に1847年なのである。それまで、西洋医学には「医療現場を清潔に保つ」「消毒する」という発想そのものが存在しなかった。
フランス人のルイ・パスツールが、実験によって、腐敗という現象が空気中の微生物によって起きることを示したのが1856年。さらに微生物が病気の原因であるとするパスツールの論文を読んだイギリスのジョセフ・リスターが、フェノール(石炭酸)を使った本格的な殺菌消毒を医療の現場に持ち込んだのは1865年のことだった。
西洋医学が急激な発展を開始するのは、19世紀も後半に入ってからである。
では、ハーネマンがホメオパシーを提唱した19世紀初頭の欧州で、最もポピュラーな治療法が何かといえば、瀉血(しゃけつ)だった。「静脈を切開して、毒素がたまった汚れた血を体の外に排出する」というものだ。
もちろん瀉血は、現在の目から見ると誤った治療法である。どす黒い静脈の血液は、毒素を含んでいるのではなく、血中のヘモグロビンが酸素と結合していないから黒く見えるだけだ。血液を失った分、患者は体力を消耗し、症状を悪化させることになる。
現代医学で瀉血は、体内に鉄分が異常蓄積するC型肝炎など、一部の病気で対症療法として行われるのみとなっている。
「処置をすれば、症状が悪化する」間違った治療法の瀉血が一般的な状況で、「プラシーボ程度には効く」ホメオパシーがどのように受け止められたか――「効果のある治療法」と歓迎されたのでははないだろうか。普及にあたっては「水で薄める」という製剤の簡便さと低コスト性も大きな力となっただろう。薬を簡単に安く作れて、なおかつ「瀉血よりも効く」ということで、ホメオパシーは欧州社会に拡がっていったのではないか――私はそのように、推測している。
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