「日本外交の歴史の中でも特筆に値すべき国際デビュー。80点プラスアルファをあげてもいいくらい」と評価は高い。だが、「本来であれば温室効果ガスを削減する話は、国内でもんでから演説すべき内容。それを、きちんとした議論をしないまま、『マニフェストに書きましたから』というだけで発信したようなもの。就任直後というタイミングだったからこそ、言えたんです」と冷ややかだ。
今後、日本の政治はどこに向かっていくのか。
「来年の参院選で自民党が大勝して、逆ねじれを起こす可能性もゼロではない。そこまでいかなくても、支持率が低迷して参院で議席が半分しか取れないということになれば、(衆院は)解散せずに首相だけが交代する。まさに在りし日の自民党パターンに陥って、実行力のない“ゾンビ政権”が何年も続くことになりかねません」
それだけではない。別の危機も差し迫っているという。
「国際的に見れば、今年は非常に深刻な経済危機からの脱出の年でした。今年の後半以降は、新しい国際秩序を作っていく時期になります。しかし、です。日本経済は今後、一層厳しい収縮過程に入る可能性が高いでしょう。そういう時に日本の政治が低迷していると、国際的発言力はますます低下して、他の国が作った仕組みに従わざるを得ないような事態に直面しかねません」
毎日新聞 2009年10月19日 東京夕刊