そのうえで鳩山内閣の高い支持率について、「鳩山首相個人の人気というよりは、民主党政権に対する期待値と見た方がいい。小泉(純一郎)さんや細川(護熙)さん、安倍さんの時は、天才的な世論の誘導力や、ニューリーダーという、見た目の印象に起因する個人への期待値という側面もありましたが、それとは別物です」。
では、中西さんが鳩山政権に感じる「6割の不安」とは何なのか。
「民主党はいろんな政策の種をたくさん持っていて、それなりに国民の支持もある。けれども、みな原石なんです。磨いて宝石にするには段取りがいるし、それには首相のリーダーシップが大きい。経験のある政党なら、決まった段取りや仕組みがあるけれど、新政権の下では、バラバラに動きかねない閣僚たちの手綱を、首相は1人でさばかないといけない」
歴史的な政権交代で、自民党と官僚組織が築いてきた従来の「秩序」が音を立てて壊れ、政治主導のスローガンのもと、国家戦略室などこれまでになかった組織、調整機関が生まれる。果たして鳩山首相は強力なリーダーシップを発揮できるのか、というわけである。
そう言い終え、ふっと漏らすようにつぶやいた。
毎日新聞 2009年10月19日 東京夕刊