<この国はどこへ行こうとしているのか>
鳩山由紀夫政権が発足して1カ月が経過した。この間、矢継ぎ早に「改革」の方針が示され、各方面で政策転換の波が押し寄せている。とりわけ外交をめぐっても、「戦後日本」の枠組みを決定付けていた従来の米国一辺倒から、アジア重視にかじを切ろうとしている。保守派の論壇は今回の歴史的な変化をどう見ているのだろうか。京都大学に中西寛・同大大学院教授(国際政治学)を訪ねた。
「不安6割、期待4割といったところでしょうか」。眼鏡の奥の瞳に、ぐっと力を込めてそう話した。
戦後の保守政治に大きな影響をもたらしているアカデミズムの流れに、高坂正尭氏(1934~96)にはじまる現実主義がある。中西さんはその流れをくみ、安倍晋三政権下で発足した首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」のメンバーも務めた。
中西さんの民主党に寄せる見方は慎重だ。
毎日新聞 2009年10月19日 東京夕刊